LGエレクトロニクス・ジャパンはこのほど、曲面ディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン「G Flex」を日本の報道陣向けに公開した。G Flexは10月28日に発表されたモデルで、11月の韓国発売を皮切りに、香港やシンガポールでも販売されている。日本での発売は未定だ。
G Flexの曲面ディスプレイは、この10月にグループ企業のLGディスプレイが量産を開始したもの。サイズは6インチのプラスチック有機EL(P-OLED)で解像度はHD(1280×720ピクセル)、曲率700R(半径7メートル)の曲がり具合で縦方向にカーブしている。ピクセル配列はペンタイルではなく、RGBの縦ストライプのため、明るく自然な色合いで描画できるという。フルHDでない理由についてLGでは、「この時期に製品化するためにはHD画質がベストだった」(説明員)と説明。おそらく、量産時の歩留まりなどコスト面で折り合いが付かなかったと予想される。
このディスプレイにあわせてボディも曲線を描いており、ズボンのポケットにも収まりやすいとしている。通話時にはユーザーの耳と口を結ぶラインにフィットし、音質が従来の端末と比較して3デシベル向上した。また横画面にして動画を視聴した場合は、6インチというサイズながら画面の端まで自然に目に入るため、IMAXシアターのような臨場感や没入感が体験できるとしている。その場合の推奨視聴距離は約30センチだ。そして、片手操作時にディスプレイの上下に指が届きやすいというメリットもうたわれている。
短時間の試用ではあるが、確かに映り込みが軽減するなど横画面時の視認性は高いと感じた。ただ、ほかの6インチクラスのモデルとしっかり比較したわけではないので、曲面ディスプレイの恩恵がどこまであるのかは微妙なところだ。また持ちやすさについては、6インチという大きさを考えると確かに指が画面の端まで届きやすいが、快適な片手操作ができる——というほどでもなかった。
このG Flexのボディは柔軟性があり、強く押された場合には短時間であれば平面に戻っても動作に支障はない。耐えられる荷重は明らかではないが、人間1人がゆっくり乗るのであれば問題ないという。こうした柔軟性を実現するためにプラスチック基板を使った有機ELが採用され、また専用のバッテリーがグループ企業のLG化学で開発された。容量3500mAhで、ユーザーが交換できないタイプだ。
ボディの背面は特殊塗装により傷の自己修復(Self Healing)機能が施されている。これはボディがカーブしていることで接地面が特定の場所に集中するなど、平面なスマホに比べてこすれやすく、キズが付きやすいことに配慮したもの。同様の自己修復機能はPCや携帯電話、スマートフォン用ケースなどで採用実績があるが、「スマホ本体ではG Flexがおそらく世界初だろう」(説明員)とのことだ。
曲面デザインとサイズ以外のスペックは夏に発売された「G2」に近い。電源キーとボリュームキーが背面中央にあり、左右どちらの手でもっても人差し指で操作できる。新たに、傾きに反応してロックスクリーンの画像が変化する機能や2画面表示のマルチタスク機能が追加されている。
OSはAndroid 4.2を採用し、プロセッサーはクアッドコアで2.26GHz駆動のQualcomm Snapdragon 800「MSM8974」。サポートする通信方式はLTE-Advanced、LTE、HSPA+、GSM。メインカメラは1300万画素、インカメラは210万画素。2GバイトのRAMと32Gバイトの内部ストレージ(ROM)を備えており、外部メモリには非対応だ。そのほか、NFCやBluetooth 4.0、USB 3.0、IEEE802.11a/b/g/n/acに対応する。今回のデモ機は韓国のLG U+が販売しているモデルで、地上デジタルテレビ(地上波DMB)の受信機能があった。
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