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3DプリンタやCADの2013年ってどうだった?

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 早いもので、今週いっぱいで2013年のお仕事も終了です。この年末は、つながりもよろしく9連休。……ということで、どこか遠くへ旅行などにいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

 さて、皆さんにとっての2013年はいかがでしたでしょうか? 今回は、2013年の3次元データ業界を振り返っていきます。

2013年の3Dプリンタ

 3Dプリンタブームが始まったのは、2012年の終わりの方であったと記憶しています。クリス・アンダーソン氏の「Makers」が2012年10月に出版された後くらいだったでしょうか。正直なところ、私はこのブームがそんなに続くとは思っていませんでした。だって、誰がどう考えても「モノを作る」仕事に関係する人にしか関係のないもの、と思っていましたから。実を言えば、今だってそうです。しかし、数多くのメディアがこの機会に何か新しいものを見いだして報道を続けました。さらに、国としても補助金を付け、経済産業省主導の取り組みが始まるなど、今年になってその動きはさらに加速しました。メディアにおける3Dプリンタの紹介もむしろ今年の方が本番だったような気がします。

 また、年の始めは比較的センセーショナルな報道内容が多かったのに対して、徐々に事実を押さえた内容が増えてきたように思いました。しかしながら、私たちのように日々モノづくりの情報に触れている立場の人間にとっては、3Dプリンタブームは非常に大きな動きに見えますが、一歩外を出れば、「3Dプリンタ? そういえば、どこかで聞いたような……」程度の認知度です。そういう意味では、一般の人にとってはまだ特殊な世界の出来事であるのが現実でしょう。

 しかし、今年の前半、この連載の記事で「3Dプリンタ狂騒曲」と表現した動きは決して無駄ではなかったと思います。というのも、製造業やそれ以外の何らかのモノづくりに携わる産業の人たちに、3Dプリンタ導入の機運が起きて、その結果として3Dデータの存在や重要性が認識されてきたからです。その結果、3Dプリンタがきっかけとなり、3次元CADの導入に踏み切った企業も出てきています。企業の設計現場においても、3Dデータ活用によるメリット全体を享受できる環境が整いつつあります。

 一般社会での3Dプリンタの知名度向上もさることながら、もともとモノを作っている製造業の中で、従来以上に3Dプリンタや3次元CADの活用が進むきっかけになった、ということが一番の成果だったといえそうです。

3Dデータ共有サービス

 3次元データに対する関心という意味では、個人の方に対しても確かに出てはきているようです。今、あちらこちらのメディアでさかんにささやかれているのが、3Dプリンタを使うためには、3Dデータが必要だけどそれを作るのが難しい……。そこで、「3次元データを共有したり販売したりしよう」というサービスやサイトの登場です。私自身もそのようなサービスについての意見やアドバイスを求められることがありました。

 このような形で3次元データの方に注目が集まってきているのは良いことだと思っています。ただし個人的には正直、まだ課題があると思っています。ユーザー目線では、特にデータの作り手にとっての(私だけかもしれませんが)メリットがいまいち分かりづらいということでしょうか。現在、これらのサービスは”投資家目線”で構築されたものと、と私は考えています(なお、”投資家目線”の言葉は、3D-GANの相馬達也さんが、3Dプリンタをめぐるさまざまな立ち位置を語る際に使う言葉を借用させていただきました)。確かに、データの作り手である、あるいは買い手である“ユーザー目線”で見た時に、(少なくとも私は)どうもピンときません。だからこそ、今後の発展に期待したいと思うのです。

 ただ、そういったサービスだけに頼りすぎるのは安易というものでしょう。そこにはデータの作り手が必要なわけで、その底上げを図っていくべきです。だからこそ、3D-GANとしては、今の大人ではなく、もっと若い世代、つまり子どもの頃から、3Dデータに触れて、造形できるという環境で馴染んでいってもらう、ということが大事だと考えています。

 Facebookなどを見ていても、あちらこちらで子ども向けの3Dプリンタイベントを目にするようになりました。実は、今求められているのは、そのようなことではないかと思いますし、私としても来年も引き続き、個人的なミッションの1つとして頑張っていきたいです。

水野のお仕事が増えました……(ということは?)

 私にとっての2013年は、それこそ“驚天動地”の1年でした。これまで、自分には全く縁がないと思っていたテレビやラジオに出演、しかもちょっとコメントをするなどのレベルではなく、ゲストとして30分もフル出演するとか、番組丸ごとガイドとしての役割を果たすとか、これまでの私からすると“ありえないこと”が起きました(ミーハーな私としては、その機会を活用して一緒に写真を撮るなどの行為に走ったことは言うまでもありません。笑)。さらに、気がついたらこの1年で、単独の著書、共著、協力書籍などで6冊の書籍を出せました。

 「そういうわけで、水野の仕事が増えました!」と、自慢話をしたいわけではないのです……(笑)。このように私自身の身辺が大きく変わったということは、やはり専門家から一般の方まで、実に幅広い方々が3Dプリンタの情報を求めているということの表れではないかと思うのです。

 既に3Dプリンタを使いこなしている方々は、今さら私の説明など不要でしょうし、むしろ私よりもさらに熟知している方も少なくないでしょう。その一方で、今回のブームをきっかけに「ぜひ試してみたい」「もっと情報が欲しい」という方も非常に多いのも事実であります。後者の方々には、専門の方からしたら基本的過ぎる情報も、簡単に話す必要があります。3Dプリンタ関連の書籍やテレビ放映のニーズが高まったのには、そのような情報発信が世の中から強く求められていた背景を受けてのことだと思っています。

 「一般のメディアが、あおりたてていた」ような傾向はあったとしても、3Dプリンタの情報を継続的に発信し続けていくこと自体、比較的反応が良かったというお話は、多くのメディア関係者の方々から伺っています。

 また私自身、今年の後半には3カ月にわたって、ある専門紙に毎週連載させていただきましたが、最終回となり、編集の方からいただいた言葉は、私ごときが書いた記事に対する反響が、かなり大きいものがあったということでした。社交辞令を差し引いたとしても、そのような言葉がいただけたのも、やはり「3Dプリンタ」というキーワードが、相変わらず多くの人々を引きつける存在であるということがいえるのではないでしょうか。

 「それで、今年は十分に情報が発信できたのか?」と聞かれてしまうと、正直、よく分かりません。ただ、とにかく、これから世の中で必要とされるのは、もっと多くの人に実践してもらえるような、もっとモノづくりのモチベーションをかきたてるような、そんな情報ではないかと思うのです。

 というのも、先日、Webメディアのfabcrossが現役エンジニア500人に対して行った調査結果では、3Dプリンタの認知度が95%にのぼった一方で、約92%の人は「使ったことがない」ということが示されています。まだまだ、“話題”にとどまっている状況というのが現実ということですね。

 そういうわけで今、3Dプリンタを活用していらっしゃる方々、熟知している方々には、2014年はぜひ、もっと積極的に情報を発信していただきたいし、その価値もあると思います。

 今後必要なのは、3Dプリンタについて「具体的に」「どこで」「どう学べるのか」ということだと思います。特に「3Dプリンタに興味がある」という一般の方で、「3Dモデリングを知りたい」という方にとっては、その場所も書籍もまだまだ足りていない現状ではないでしょうか。

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