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Huaweiが生き残るには“革新的な技術”が必要――そのカギを握るのは?

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 この冬、Huaweiが日本で投入したモバイル機器は、イー・モバイルとソフトバンク向け「Pocket WiFi GL10P/301HW」と、WiMAX 2+対応ルーターの初号機「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」の2モデルだ。スマートフォンはドコモから5月に発売された「Ascend D2 HW-03E」以来投入していないが、海外では厚さわずか6.14ミリのスリムなスマートフォン「Ascend P6」が発売されて話題を集めた。IDCの調査では、2013年第3四半期のスマートフォン出荷数で、HuaweiがAppleとSamsungに次ぐ第3位につけており、世界でもシェアを伸ばしている。

 ファーウェイ・ジャパンは10月に開催されたCEATEC JAPAN 2013で、Ascend P6を初めて日本で披露した。Ascend P6は3G版しか発売されておらず、現在LTE版を開発中で、日本投入への期待も集まる。今回は、そんなHuaweiのモバイル戦略について、ファーウェイ・ジャパン 副社長 端末統括本部 統括本部長のオリバー・ウー(Oliver Wu、呉波)氏に話を聞いた。

photoファーウェイ・ジャパン 副社長 端末統括本部 統括本部長のオリバー・ウー(呉波)氏

日本ではスマートフォンのシェア3位を目指す

—— 10月のCEATEC JAPANでは海外メーカーの出展があまり目立ちませんでしたが、そんな中で出展した狙いを教えてください。

ウー氏 弊社は2007年に日本で初めて端末のビジネスを展開し、2012年の日本における端末の出荷台数は600万台でした。日本市場でのシェアは、フィーチャーフォンが第5位、スマートフォンが第9位ですが、Pocket WiFiなどのモバイルWi-Fiルーターは、5年間で第1位、デジタルフォトフレームは4年連続で1位です。タブレットは、6月に行われた日経BP社のお客様満足度調査で「dtab」が3位を獲得しました(外部リンク参照)。Huaweiが出している製品は、日本で高い知名度を持っていると認識していますので、これからは“知名度の高い製品をHuaweiが作っている”というメッセージを打ち出したいと考えています。世界中どこでもHuaweiのロゴを見られるようにしたいですね。

—— Pocket WiFiやデジタルフォトフレームの1位はすごいと思いますが、一方でスマートフォンは9位で、この現状についてどう思いますか。またスマートフォンのシェアは上げられると思いますか。

ウー氏 (日本での)スマートフォンのシェアはトップ3に入ることを目指しています。かつて、携帯電話で業界をリードしていたメーカーが次々と撤退していますが、市場シェアを追求するだけでは、日本市場の自然の摂理に反すると考えています。Huaweiでは、先進的な技術を用いて、ユーザー体験の優れたスマートフォンをエンドユーザーに提供していくことを重視しています。CEATECではAscend P6や、(LTEの)キャリアアグリゲーション、4×4 MIMOといった先進的なものを訴求しました。

 日本では、初めてLTE Category4に対応したモバイルWi-Fiルーター(HW-02E)を3月に、下り最大150Mbpsのスマートフォン(Ascend D2 HW-03E)を5月に出しました。ただし、当時は日本の通信事業者の都合もあり、性能的には150Mbpsの速度が出せますが、実際には使える範囲が限られていたため、宣伝には力を入れませんでした。今後は、先ほど申し上げた4×4 MIMOとキャリアアグリゲーションを日本で訴求したいと考えています。通信速度は220Mbps〜300Mbpsまで上げていきたいですね。

photophoto約4.7インチHDディスプレイを搭載した3Gスマートフォン「Ascend P6」。プロセッサーはHuawei傘下のHiSilicon製「K3V2」を備える。OSはAndroid 4.2、バッテリー容量は2000mAh

端末、ネットワーク、チップセットの3つを持つことが強み

—— 通信のスペックについては恐らく今後、ほかのメーカーもキャッチアップして横並びになっていくと思いますが、その中でHuaweiの優位性はどこにあるのでしょうか。

ウー氏 キャリアアグリゲーションや4×4 MIMOは終点ではありません。4×4 MIMOはCategory5で実現しますし、8×8 MIMOもあります。通信技術は、2020年の東京オリンピックに向けてさらに進化していくでしょう。

—— 通信技術の進化について、例えばHuaweiが新しい通信のチップセットをいち早く搭載するなど、具体的なプランはあるのでしょうか。

ウー氏 Huaweiはチップセットを自社開発し、ネットワーク製品も取り扱っているので、端末、ネットワーク、チップセットの3つを自社で持っていることが他社と違うところです。LTEのネットワーク(基地局)も世界で高いシェアを持っています。Huaweiは先進的なネットワークを作っているので、ネットワークにマッチングさせたチップセットや端末も出しています。

Ascend P6のウリは金属ボディとEmotion UI

—— Accend P6がCEATECで展示されましたが、現在のところ3G版のみでLTE版は発表されていません。日本のユーザーはLTE版が欲しいと思いますが、LTE版開発の状況や見通しを教えてください。

ウー氏 LTE版は開発中で、ほぼ終わりの段階に来ています。Huaweiとしても、日本のお客様にできるだけ早く提供することを目指しています。具体的な時期は決まり次第、お知らせします。

—— Accend P6は世界最薄をうたっていますが、LTE版も同じ薄さになるのでしょうか。あるいはバッテリー容量を増やすことになるのでしょうか。

ウー氏 LTE版のデザインは3G版と同じにしますが、サイズについては申し上げられません。

 Ascend P6では世界最薄をアピールしていますが、一番のウリはメタリックなボディ。もう1つのウリはHuawei独自のEmotion UIです。Emotion UIは、ユーザーの年齢層に応じて最適なUIを選んで使えるようになっています。例えばシニアユーザー向けUIだとアイコンのサイズが2倍になりますし、フィーチャーフォンに慣れているユーザーにはフィーチャーフォンに似せたUIにすることもできます。

photoアプリトレイのない独自の「Emotion UI」を採用。フォルダ管理も可能

—— CEATECの発表会では、Ascend P6はHuaweiにとって物作りの方向性を変えたスマートフォンだと説明されていましたが、その背景は?

ウー氏 きっかけと背景はいくつかありますが、デザインが格好いいスマートフォンを提供したい、一番操作がしやすいスマホを提供したい、使用時間が一番長いスマホを提供したい——と考えたことが大きいです。

 デザインだけを見ていただくと、2008〜2009年にHuaweiが初めて開発したスマートフォンと比較しても、飛躍的に進化したことがお分かりいただけると思います。そして先ほど挙げた3つのポイントを実現するために、Huaweiは世界14カ所にR&Dセンターを設立し、そのうちの1つが横浜にあります。さらに、世界に3つのデザインセンターがあります。これらの施設のお陰で、Huaweiは優れたデザインのスマートフォンを開発できるようになりました。

photophoto側面にはステンレスを用いており、金属の質感を得られる(写真=左)。2つのCを重ねたように見える“Dual-C”デザインも特徴の1つだ(写真=右)
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