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今さら聞けない「Windows XP」サポート終了問題

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Windows XPは2014年4月9日にサポート終了

 2001年にリリースされ、ビジネスからホームユースに至るまで世界各国で利用されてきた「Windows XP」。そのサポート終了が2014年4月9日(日本時間)に迫っている。

 サポート終了後は、マイクロソフトからセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるため、Windows XP搭載PCをそのまま使い続けることは、企業および個人にとって、セキュリティのリスクが格段に高まることを意味する。日本マイクロソフトも特設サイトを開設し、ユーザへの啓蒙を行っている。

tm_1312_xp_01.jpgtm_1312_xp_02.jpgWindows XP Professional/Home Editionのパッケージ(写真=左)。2001年に発売されて以来、全世界で利用されてきた名OSだが、サポート終了の日は刻一刻と近づいている。日本マイクロソフトのWindows XPサポート終了特設サイト(画像=右)

 セキュリティのリスクといってもさまざまだが、例えば、ウイルスの感染でPCが起動しなくなるといった局地的な被害もあれば、マルウェアを仕込まれて第三者のサーバを攻撃するための踏み台にされたり、あるいは顧客の個人情報を盗み出されるといった、企業の責任問題につながりかねない大規模な被害の発生も危惧される。

 こうした脅威はインターネットに接続している場合に限定して起こると考えがちだが、たとえインターネットから切り離されていても、USBメモリやCD/DVD-Rなどの外部メディアから侵入したウイルスが社内ネットワークを経由し、インターネットに接続している端末に感染を広げないとも限らない。インターネットに接続していなければ、直接的な被害の規模は小さくなるかもしれないが、完全にはブロックできないことに注意すべきだ。

Office 2003とIE6も同日にサポート終了

 もう1つ見逃せないのが、マイクロソフトのサポート終了に伴い、周辺機器やソフトウェアのベンダーも、XP搭載PCのサポートを打ち切るケースが多いことだ。

 業務で利用しているソフトウェアで、これまで定期的に提供されていた更新プログラムがXPには対応しなくなり、最新の機能が利用できないばかりか、プログラムに不具合が見つかってもそのまま放置される──このような事態が続々と発生することが懸念される。「インストール済みのソフトさえ動けばいい」と考えるのは早計というわけだ。ウイルス対策ソフトについても、XP対応は終息に向かっている。

tm_1312_xp_03.jpgOffice 2003もWindows XPとともにサポート終了となる(写真はOffice Professional Edition 2003)。OSはWindows 7に入れ替えているが、Officeのバージョンはいまだに2003のまま、というケースもあると考えられるので、身の回りの思わぬところに問題が潜んでいる可能性もある

 業務で使われる頻度が高いソフトウェアの中では、オフィススイートの「Office 2003」、またWebブラウザの「Internet Explorer 6」のサポートが、Windows XPと同日にサポートを終了するのは大きな問題だ。

 無料でアップデートできるInternet Explorer 6はともかくとして、「Word 2003」「Excel 2003」「PowerPoint 2003」「Access 2003」「Outlook 2003」などを含むOffice 2003については、Windows XPと同じく、早期の乗り替えが必要となる。Windows XPのサポート終了が大きくクローズアップされるために目立ちにくいが、こちらのサポート終了もまた切実な問題だ。

 また今後は、新しく発売された周辺機器がXPをサポートしていなかったり、ソフトウェアがWindows XP環境にインストールできないケースも増えてくることは確実だ。

 これらの発売元となるメーカーにとっても、サポートが終了したOSにわざわざ自社製品を対応させるのは、開発やサポートのリソースを割かなくてはいけないことから、よほどのことがなければ前向きに取り組むのは難しい。事実、サポートOSの一覧にWindows XPが含まれない製品は確実に増加しつつある。当面は存続としている製品も、順次終息していくことになるはずだ。

 これら一連の問題は、2014年にサポートが終了することになぞらえて「2014年問題」と呼ばれている。企業にとって、迫り来る2014年問題への的確な対応は、もはや避けては通れない、喫緊の課題になりつつあるというわけだ。

むしろ長かった、Windows XPのサポートライフサイクル

 「なぜマイクロソフトはXPのサポートを打ち切るんだ」「少し早すぎるんじゃないか」——今なおWindows XPを利用しているユーザーは、今回の2014年問題に直面して、このように憤慨しているかもしれない。慣れ親しんだ作業環境が利用できなくなるのだから、そのように思うのはごく自然だろう。

 しかし、Windows XPのサポート終了は、決して突然発表されたわけではない。そればかりか、従来のWindows OSに比べると、むしろサポートは長期間に及んでいるのだ。以下の表はWindows 95から最新のWindows 8まで、サポートライフサイクルをまとめたものだ。

Windows サポート終了時期の比較
Windowsバージョンリリース日サポート終了日期間
Windows 951995年8月2001年12月約6年5カ月
Windows 981998年7月2006年7月約8年0カ月
Windows Me2000年9月2006年7月約5年10カ月
Windows 20002000年2月2010年7月約10年5カ月
Windows XP2001年10月2014年4月約12年6カ月
Windows Vista2006年11月2017年4月約10年5カ月
Windows 72009年9月2020年1月約10年5カ月
Windows 82012年8月2023年1月約10年5カ月
※Windows 2000/XP/Vista/7/8は「延長サポート期間」を含む

 Windows 2000以降、サポートが終了するまでの期間が延びているように見えるのは、Windows 2000から「メインストリームサポート」と「延長サポート」の2種類のサポート期間が設定されたことによる。

 最低5年と定められているメインストリームサポートが終了すると、機能追加やセキュリティ関連以外の修正プログラムの新規作成が行われなくなるほか、無償のサポートも受けられなくなる。残るのはセキュリティの修正プログラムの提供と、有償サポートのみ。「安全に使い続けるために、最低限必要なサポートはしますよ」というフェーズだ。

 ちなみにWindows XPのメインストリームサポートは2009年4月をもって終了しており、今はこの延長サポート期間の最中に当たる。「現在はまだWindows XPのサポートは全面的に継続している」と思っている人が多いかもしれないが、前述のように無償サポートはとっくの昔に終了しているのだ。そしてメインストリームサポート打ち切りから約5年後となる2014年4月に、延長サポートも終了し、これをもってすべてのサポートが終了することになる。

 とはいえ、Windows XPのサポート期間はその前のWindows 2000、さらにWindows Vistaや7、8に比べると2年ほど長く、むしろ長寿といえる。これは最低5年とされているメインストリームサポートが、都合7年半に延長されたことによるものだ。次期製品の出荷時期や、サービスパックの提供時期など、さまざまな要因によるものだが、今回は再延長されないと見る向きが多い。

 その理由はさまざまだが、Windows XPが発売された2001年と現在とでは、インターネット周辺の環境があまりにも違いすぎており、高度に発達したサイバー攻撃を防ぐにはあまりにも根本が脆弱(ぜいじゃく)であることが、大きな理由の1つだ。次回はこうした点について見ていこう。

(第2回に続く)

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