米Qualcommは12月9日、64ビット対応のスマートフォン向けプロセッサ「Snapdragon 410」を発表した。64ビットの処理能力はPCでは主流だが、モバイル分野ではまだ新しく、今回のQualcommの動きはAppleに続いて、より効率的なモバイル端末への道を切り開くものとなる。
Qualcommによれば、Snapdragon 410は4G LTEにも対応しており、急成長中の中国市場をターゲットに2014年下半期から低価格スマートフォンへの搭載が始まる見通しという。
QualcommのSnapdragonラインのマーケティング担当上級ディレクター、ミシェル・レイデン・リー氏によれば、今後は4G LTEに加えて、64ビット対応をQualcommプロセッサの標準としていく方針という。
AppleのiPhoneを皮切りに、スマートフォン市場では64ビットへの移行が進んでおり、省電力モバイルプロセッサと、ノートPCやデスクトップPCやサーバで使われるより高性能なプロセッサとの差は縮まりつつある。
韓国Samsung Electronicsもスマートフォンに64ビットプロセッサを採用する計画を発表済みだ。
現在大半のモバイル端末は32ビットプロセッサを搭載しているが、64ビットプロセッサは32ビットプロセッサよりも多くのメモリを活用できるため、より高速でより効率的な動作を可能にすると期待できる。
現行のスマートフォンは、64ビットプロセッサが32ビットプロセッサに勝ると言えるほど十分なメモリを備えていないが、将来的には恐らく、64ビットプロセッサによって性能向上を見込めるほど十分なメモリが搭載されることになるはずだ。
さらに、64ビットプロセッサを活用するには、元々32ビットプロセッサ向けに設計されたソフトウェアを変更する必要もある。
「ニワトリが先か、卵が先かのような側面もある。だが目下、64ビットへの移行は進みつつある。当社はそうしたエコシステムの実現に貢献したい」とレイデン・リー氏は語る。
Appleは2013年9月に、64ビットプロセッサを搭載する初のiPhoneを発表した。これを受けて、AppleがモバイルOS「iOS」を、ノート型Macやデスクトップ型Macに使われているOSと統合する計画ではないかとの憶測が広がった。将来的には、AppleがiPhoneやiPadに採用しているのと同じシリーズのプロセッサがMacに搭載される可能性もある。
Intelは既にモバイルプロセッサに64ビット機能を搭載しているが、同社の「x86」アーキテクチャはスマートフォンやタブレットの市場には浸透できずにいる。競合する省電力アーキテクチャが英Arm Holdingsからプロセッサメーカー各社にライセンス供与され、多くの端末に採用されている。
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