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“自称”iPad 2に潜む“驚がくの真実”を分解して知る

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iPad 2の128Gバイトモデルが登場

kn_pachipad2_01.jpg詳細情報まったくなしのこのタブレット。背面に「iPad2」のロゴはあるが、なにかとおかしいところ満載

 メーカーが分からず、ほとんど情報がないこのタブレット。購入は2012年8月ごろで、実売価格は85ドルだった。当時の為替レートで7000円程度になる。取扱説明書もなく、箱の表面に印刷した不鮮明な説明だけが頼りだ。箱のイラストからAndroid OSを搭載しているらしい。バッテリーの稼働時間に関する情報もない。

 この製品だけに限らないが、とにかく中国で入手できる“模造品”には謎が多い。これを分解し、本物との相違点とコスト削減の理由、そして、構造上危険域に突入している部分などを解説する。

 本物のiPad 2でディスプレイが9.7インチであるのに対し、こちらは7インチなので、本体サイズはiPad mini(初代)に近い。重量も370グラムで、本物のiPadと比べて半分程度。なお、iPad mini(初代)の重さは312グラム(無線LANとワイヤレスWAN対応モデル)だ。

 電気製品や通信機では、認証を受けたことを示すロゴを表示する必要がある。例えば「FCC=米国連邦通信委員会」「CE=欧州安全規格」などだ。iPad 2(パチ)にも「FCC」「CE」をはじめとする認証ロゴを本体に印刷している。その1つの工業規格商標の上にはリンゴマークとともに「iPad2」の名称も印刷している。そのすぐ下には「128GB」とあるが、本物のiPad 2にでは最上位機種でも64Gバイトだ。しかも、実際に搭載していたのは、汎用品向けの2Gバイトフラッシュメモリだったので、なんと64倍の水増し表示ということになる。

iPad 2なのに分解がこんなに楽とは

 iPadといえば、分解が最も難しい製品の1つだ。ボディ外側に露出したネジはなく、ひたすら家庭用ドライヤでタッチパネル周辺を温めてボディパネルを外し、その下の基板やバッテリーを取り出す。しかし、いま目の前にあるiPad 2(パチ)では、本体裏側のパネルをスライドさせると簡単に外れる。

 iPad 2(パチ)の価格抑制には、使用する部品もさることながら、組立工程の簡素化も大きく貢献している。絶妙な貼り合せスキルを要求する糊や紫外線硬化接着剤の類は一切使用しておらず、ネジと両面テープで部品やボディパネルを固定している。しかも、ネジは金属部品接合用ではなく、木材接合用の、いわゆる“木ネジ”を使っていた。金属部品接合用のネジは、ネジ部が寸胴で上から下まで直径が同じなのにたいして、木ネジはネジ部がキリのようにとがっている。

 金属部品接合用のネジを使う場合、ネジ穴を適切なサイズでくりぬく必要がある。しかし、iPad 2(パチ)では木ネジを使ったために、小さなネジ穴を強引に広げて接合した形跡があった。

 背面のボディパネルを取り外すと、バッテリーや基板など主要部品が見える。大容量化が進むバッテリーを薄くて小さいボディに収納することは、タブレット開発における大きな課題の1つとなっている。各メーカーとも、ボディ内部を最大限に活用してバッテリースペースを確保している。どちらかというと、基板は残ったスペースに詰め込んでいる場合が多い。本物のiPad 2もボディ面積の70パーセント程度をバッテリーが占めている。

kn_pachipad2_02.jpgkn_pachipad2_03.jpgiPad 2(パチ)の構成部材(写真=左)と内部レイアウト(写真=右)

 iPad 2(パチ)では、iPad mini相当のボディ面積なのにリチウムイオンバッテリーは40パーセント程度を占めているに過ぎなかった。「Replacement Battery for Laptop」と記載しているが、メーカーの記載はない。バッテリーに記載している表示を信じるとすれば、定格は7.4ボルト1800mAhの13.32Whrとなり、iPad 2の半分程度しか電力を供給できないことになる。

 リチウムイオンバッテリーは、乾電池などに比べて多くの電力を発生できる。それだけに、ショートさせたり不適切に取り扱うことで発生する反応も爆発的に大きい。そのため、この種のバッテリーは金属のピンで基板と接するように配置し、簡単には動かないように固定する場合が多い。

 しかし、iPad 2(パチ)では、バッテリーと基板はワイヤではんだ付けし、バッテリーも両面テープで貼り付けているだけだ。固定していないバッテリーが動いたり、内部にたまるホコリと湿気でコード線の被覆していない部分がショートする可能性がある。発煙や急激な発熱が起きて、最悪の場合は発火も考えられる。

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