米Appleの新型iPhoneの発売では今回初めて世界同時発売に中国が加わったが、Appleはその販売台数が発売から3日間で900万台を超えたことを明らかにするとともに、業績見通しを上方修正した。
Appleは9月23日、2013会計年度第4四半期(7〜9月期)の売上高について、これまでの予想である「340〜370億ドル」の上限近くになるとの見方を示した。これを受けて、Apple株は5%値を上げ、490ドル64セントで取引を終えた。
Appleはハイエンド機種「iPhone 5s」と価格が低めでカラーバリエーションが豊富な「iPhone 5c」の販売を20日に開始した。Appleが四半期途中に業績見通しを修正するのはまれなことだ。だがティム・クック氏がCEOに就任して以来、世界最大のIT企業であるAppleは目に見えてウォール街への配慮を強めている。
記録的な販売台数と業績見通しの上方修正により、「Appleの最新端末には根強い需要がある」との期待は確固たるものとなった。近年は低価格な端末を好むユーザーが増え、サイズが大きめのスマートフォンが人気を集める中、韓国Samsung Electronicsなどが開発するGoogleのAndroid OS搭載スマートフォンがAppleの市場シェアを着実に侵食している。
批判的な向きからは、新興市場での繰延べ需要を取り込むにはiPhone 5cの価格は高過ぎるとの指摘もあった。
「Appleは魔法の力を失ったとの指摘もある。だが顧客から伝わってくるのは、それとは全く異なる感想だ。そうした声は数字と同じくらい重要だ」とHudson Square Researchのアナリスト、ダニエル・アーンスト氏は指摘する。
1年前に発売された「iPhone 5」は最初の週末で販売台数が500万台を突破したが、新型iPhoneの販売台数はそのほぼ2倍であり、アナリストによる約600万台という予想も大きく上回った。
ただし、Appleの最新iPhoneの販売台数はこれまでと単純に比較できるものではない。今回Appleは重要な市場である中国も含め、世界11カ国で2つの機種を同時発売したが、iPhone 5が同時発売されたのは世界の9カ国においてだった。
もう1つ特筆すべきは、Appleが今回、日本最大手の携帯キャリアであるNTTドコモが取扱いに加わった点だ。
新型iPhoneは、中国のほか、香港、シンガポール、米国、オーストラリア、日本、英国、カナダ、ドイツ、フランス、プエルトリコの計11カ国で同時発売された。これまでAppleは、中国では世界同時発売より数カ月遅れで新機種を発売してきた。
「投資家にとって1つ重要な注意点がある。今回の新型iPhoneは季節的な変動が大きくなりそうだ。NTTドコモが加わったことや、特に中国での発売が早くなったことによる影響があるからだ」とBernstein Researchのトニー・サッコナギ氏は指摘する。同氏はAppleの投資判断を「アウトパフォーム(強気)」としている。
「7〜9月期と10〜12月期は上振れとなる可能性が高いが、1〜3月期にはiPhoneの販売台数はこれまでにない勢いで急減するかもしれず、下振れのリスクが懸念される」と同氏は続ける。
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