Mozilla Japanは2013年9月19日、移動式のネットワークおよびモノづくり拠点として「Mozilla Bus プロジェクト(略称:MozBus プロジェクト)」の開始を発表した。
Mozillaはオープンソースのブラウザー「Firefox」やメールソフト「Thunderbird」など、「オープンソース」を基軸にWebの可能性を広げる取り組みを進めてきている。この理念の下、Mozilla Japanでは2012年春に「オープンを軸としたモノづくりを学び実践する場」として「Mozilla Factory」を設立。専門家や大学生、中高生などが参加し、3Dプリンタなどによるデジタルファブリケーションを用い、オープンなモノづくりの振興に取り組んできた。
いつでもどこでもモノづくり
今回新たに開始するMozBus プロジェクトは、このMozilla Factoryのプロジェクトの1つとして企画されたもの。「全ての人にWebを届ける」をテーマに、いつでも・どこでも・どんなときでも体験型ワークショップが行えるように、移動式のWebおよびモノづくり拠点を設立した。
キャンピングカーを改造した「MozBus」は、自家発電装置の他、IPSTARの協力で衛星ブロードバンド通信によりいつでもネットワーク接続が可能。またシスコシステムズの協力により、移動式のWi-Fi基地としても活用が可能だ。
Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏は「Mozilla Factoryに取り組むうち、東京で開催していても参加できる人は限りがあり情報格差は根強いものがあることを強く感じた。また東日本大震災の被災地ではネットワークを使いたくても使えない状況などもある。日本全国に幅広くWebの価値を伝えていくためには移動式のプロジェクトが必要だった」とプロジェクト設立の動機を語る。
MozBus プロジェクトでは、この基盤を生かし、出張ワークショップの開催や防災インフラとしての活用、ICT教育コンテンツの研究、Webの新たな姿の研究などに活用していく方針だ。
グローバルとローカルをつなぐ
プロジェクトには、Mozilla Japanの他、IPSTAR、慶應義塾大学(SFC)、国立天文台、The OpenStreetMap Foundation Japan、シスコシステムズなどが参加。またメンターとして慶応義塾大学環境情報学部長の村井純氏、慶應義塾大学環境情報学部准教授の田中浩也氏、同筧康明氏、同大木聖子氏、国立天文台の大江将史氏、The OpenStreetMap Foundation Japanの古橋大也氏などが参加するという。
メンターを務める村井氏は「ローカル、モビリティ、オープンが今後の大きなキーワードになってきている。グローバル化が進む一方で、実際に会うというローカルの価値は従来以上に高まってきている。そういう価値を生かして何かを生み出していきたい」と語った。
またオランダとスイスのFabLab巡りをしているという田中氏はスカイプで参加。「Fabの世界では『ないものは作る』という発想なので、いずれはMozBusの改造をプロジェクトの中で行えたらよい」と述べていた。
今後は、まず2013年10月12日に宮城県で「みなみさんりく復興マップづくり」を開催する他、同年10月14〜16日には岩手県で「日本災害医療ロジスティクス研修」に参加。また同年11月14〜16日に東京都の日本科学未来館で開催される「G空間EXPO」にも参加する予定だという。
瀧田氏は「走りながら考える部分が多く決まっていないことも多いが、MozBusが壊れるまで走り続けたい。MozBusをハブにして国内外の各地域で、人と人との新たなつながりを作りたい。つながることできっと何かが起こるはずだ」と抱負を語っている。
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