長文入力するために譲れない「理想的なスイッチの感触」
筆者は旧来からの「ThinkPadユーザー」であり、ThinkPadファンである。そして筆者にとっての理想のキーボードとは、力を入れなくてもすっと押し下がり、スイッチが入る時点で適度なクリック感があり、その後指に吸い付くように戻ってくる……打ち心地となるキーボードだ。この感覚のベースは、歴代ThinkPadシリーズの体験から来ている。
さて、これまでの経験から、キーボードにおける「ストロークの深い浅い」についてはそこそこ順応しやすい部分だと思う。浅いストロークのキーボードに慣れると深いストロークのキーを押し込むのがおっくうになったりするし、このまま深いストロークのものを使い続ければその間隔は逆転するだろう。しかしスイッチの感触は別だ。この感触がしっくりこないとなると、いくら使いこんでも慣れることは難しい。
この過去のThinkPadに通じるスイッチの感触は「ThinkPad X1 Carbon」の6段配列プレシジョンキーボードにもしっかりと受け継がれている。個人的に21世紀最強と評価している「ThinkPad X300/X301シリーズ」に優るとも劣らない。
スイッチの感触とともに感心するのが、キーのグラつきの少なさ/安定感だ。ストロークはこれまでよりやや浅めということもあるが、戻り時のブレはほとんどない。同じシリーズでもキーボード部品のベンダーによって多少の違いはあると思うが、現在使用するThinkPad X1 Carbonと、かつて使っていたThinkPad X301のキーボードを安定感の面で比べると、ThinkPad X1 Carbonが勝るぞという印象だ。
この件、個人的すぎる意見を述べてもアレなので、通常のレビュー記事では気持ち一般的な広い視点で記述することにしているが、さておきこの感覚を忠実にするならば、ほとんどのPCは「反発が強い」と書くことになる。反発を強めればクリック感を出しやすい。ただ、キーを支える構造がしっかりしていなければグラついて安定感を欠くし、なにより強すぎると打っているうちに疲れる可能性が飛躍的に高まってしまう。
このようにスイッチの感触については、毎日キーボードで長文を入力するライター業務として譲れない項目の感覚だ。もちろん他メーカーの製品も感触がよいものはある。しかしその数は少なく、やはり高級機と言われる製品に限られるのが現状ではなかろうか。
Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.