未成年などが不適切な行為をネットに投稿して“炎上”するケースが相次ぐ中、Webフィルタリングソフトを手がけるデジタルアーツは9月10日、青少年のネット利用に関する調査結果を発表した。Twitterなどでの炎上事件はここ数年で増加しており、同社は保護者や教師がネット利用のリスクについて適切に指導するよう呼びかけている。
この夏、コンビニエンスストアの従業員がアイスクリームの冷凍ケースに入った写真をネットに投稿したり、宅配ピザ店員がピザ生地で顔面を覆った写真を投稿したりして炎上を招くケースが相次いだ。同社の調べによると、今年6〜8月にメディアで報じられた炎上事件は20件超。このうち半数以上は「職場での問題行動」をネットに投稿したものだった。
調査結果を見ると、ネット炎上事件自体は11年ごろから多発しているが「今の炎上事件とは大きな違いがある」とデジタルアーツの工藤陽介氏(経営企画部コンシューマ課)は指摘する。11年ごろの炎上事件は未成年が「文章」で飲酒・喫煙やカンニングなどの問題行動を投稿するケースが多かったが、今年は「写真」で不適切行動をアップして炎上を招くケースが多数を占めたという。
同社が10〜18歳の男女1236人に対し実施したアンケート調査によれば、未成年のスマートフォン所有率は50.0%(8月時点)で、11年11月の調査時(14.4%)と比べて約3.5倍に増加していた。「スマートフォンとカメラアプリの普及で誰でも簡単に写真を投稿できるようになった今、青少年が仲間に賞賛されるために“内輪感覚”で問題写真を投稿するケースが増えている」と工藤氏はみる。
だが、なぜメールなど1対1のコミュニケーションツールではなく、Twitterなどの公開型SNSを投稿場所として選ぶのか。「彼らはTwitterなどの投稿が不特定多数のユーザーに見られる可能性は知っているが、“わざわざ自分のところまで見にこないだろう”という意識で投稿してしまっている」(工藤氏)。実際、未成年がネットで情報発信する際には「何も気を付けていない」が45.1%を占めるという調査結果も出たという。
同社によると、官公庁が把握しているケースとして、青少年が過去のネット炎上事件をきっかけに就職内定を取り消されたこともあったという。「実際に炎上事件がきっかけで内定が取り消される場合があると聞く。また、企業が就職応募者の名前をネット検索し、選考過程でふるい落とすケースも考えられる」(工藤氏)
工藤氏は、炎上事件の背景の1つとして「Webブラウザ経由のネット閲覧が主流だった親世代にとって、子どものスマートフォンアプリからのネット利用シーンを想像しづらい」問題があると指摘する。同社はスマートフォンアプリからのネット炎上を擬似体験できるiOS/Androidアプリなどの提供を通じ、未成年と保護者のネットリテラシー向上を支援するとしている。
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