日本最大手の携帯電話事業者であるNTTドコモは今秋にも米AppleのiPhoneを発売する方針だ。Appleはライバルの韓国Samsung Electronicsに対し、日本では3倍以上の市場シェアを持つが、これをさらに拡大できそうだ。
6000万の契約者を抱えるドコモだが、長らくiPhoneの販売には抵抗を示してきた。ブランディングや販売マージンなどの面でAppleと方針が一致しなかったためだ。だがiPhoneは日本で最も売れているスマートフォンであり、2008年にiPhoneを発売したソフトバンク、11年に発売したKDDIに対しドコモは市場シェアを奪われる結果となっている。
事情に詳しい関係者がロイターに語ったところによると、ドコモは早ければ今秋にもiPhoneの販売を始めるという。
秘密保持を理由に匿名を条件に語ったこの関係者は、協議の進行状況について詳細を明らかにしなかった。
別の情報筋によると、両社で議論がこう着しているポイントはロゴだという。ドコモは販売する全ての端末に自社ロゴを入れるよう求めているのに対し、Appleは自社製品をそのまま販売することにこだわっている。
また市場ウォッチャーの間では、Appleはドコモが販売する端末の50%以上をiPhoneで占めるよう求めているのに対し、ドコモは20〜30%にとどめたいと考えているようだ、という憶測もある。
ドコモはiPhoneの販売について「現時点で開示すべき決定した事実はない」というコメントを発表した。Appleからはすぐにはコメントを得られなかった。
アナリストは、両社が妥協した可能性があるとみる。Macquarie証券でアジアの通信分野を担当するアナリスト、ネイサン・ラムラー氏は「ドコモは大手キャリアであり、iPhoneの新たな販売拡大が見込めるため、Appleが柔軟になった可能性はある」と指摘する。
この件を最初に報じた日本経済新聞は、来週にもドコモのiPhone販売参入は発表されるだろうと報じている。Appleは9月10日(米国時間)にiPhoneの最新機種を披露するとみられている。
AppleはSamsungのGALAXYを始めとするAndroid勢との厳しい競争にさらされており、同社にとって日本は重要な市場の1つだ。
MMD総研によると、日本で販売されているスマートフォンの4分の1以上をiPhoneが占めている。一方、Appleの世界シェア(4〜6月期)は13%だった。
ドコモは、ソニー、シャープ、富士通の端末による冬モデルのプロモーションも計画している。
カナダのBlackberryは、最新の「Blackberry 10」を日本で販売しない方針を決めた。BlackberryからiPhoneに乗り換えを検討する法人顧客の存在も、ドコモにiPhone参入を決断させる一因になっている可能性がある。
「法人顧客はドコモにとって決定的に重要だ」とMacquarie証券のラムラー氏は話す。「AppleもまたiPhoneを活用した企業向けソリューションの改善に注力しており、これも考慮された可能性がある」とみる。
日本で最初にiPhoneを販売したソフトバンクの株価は前日比2.5%下落し、KDDIは0.2%の微減。ドコモは取引開始直後に3%上げ、その後0.5%高だった。日経平均株価は1.5%安だった。
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