教科書会社12社と日立ソリューションズは9月5日、国内初のデジタル教科書の共通プラットフォーム開発に共同で取り組むコンソーシアム「CoNETS」を発足した。2015年春に、指導者・学習者向けのマルチOS・多デバイス対応の共通ビューワの運用開始を目指す。
12社は、大日本図書、実教出版、開隆堂出版、三省堂、教育芸術社、光村図書出版、帝国書院、大修館書店、新興出版社啓林館、山川出版社、数研出版、日本文教出版。
学校現場におけるデジタル教科書の導入は進みつつあり、11年度時点で指導者用デジタル教科書の普及率は小学校で29.4%、中学校で17.3%。映像や音声を利用できたり、共同作業がしやすいなどのメリットもあるが、現状では教科書ごとに各社各科目で独自開発されており、教育現場からは操作性の違いやOSやデバイスへの対応の差異などに不満の声が上がっていたという。
「CoNETS」は、教科書会社が連携し、全社全科目の共通プラットフォームの普及を目的とする。デジタル教科書の専用ビューワと配信システムの開発は日立ソリューションズが行い、指導者用・学習者用それぞれにサービスを提供する。対応OSはWindows 7/8とiOS(iPad)を予定し、電子黒板やPC、タブレットなど多デバイスで横断的に利用できる形。コンテンツは、EPUB3で配信し、一般の電子書籍の読み込みも可能だ。
科目や学年を問わず操作性やデザインを統一し、小中高と一貫して利用できる、指導者にも学習者にも使いやすいビューワを目指す。教室での一斉学習以外にも、家庭での個別学習やグループでの共同学習にも適した機能を搭載する。教科書データはクラウドサーバーで一括配信するため、内容の更新もでき、配信側の利便性も向上するという。
製品は現在開発中で、詳細は14年秋に発表する。教科書改訂のタイミングに合わせ、15年に小学校用、16年に中学校用、17年に高等学校用を発売するという。12社以外にも、共通プラットフォームへの参加を呼びかけていく。
同コンソーシアム代表を務める光村図書出版の常田寛社長は「デジタル教科書のスタンダードを目指し、1社だけでは難しい教育現場の声に一丸となって応えていく。デジタル教科書はあくまで質の高い紙の教科書があってこそ。紙とデジタルのよい部分を融合させ、効率よく学力を伸ばすツールを作りたい」としている。
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