韓国Samsung Electronicsと米Qualcommはそれぞれ9月4日、スマートウォッチ(腕時計型端末)を発表し、ウェアラブル端末の市場に乗り出した。ハイエンドスマートフォン市場が飽和状態に近づく一方で、ウェアラブル端末市場は500億ドル規模に成長すると見込まれている。
SamsungとQualcommの端末はそれぞれ、ベルリンとサンディエゴで開催されたイベントにおいて、ほぼ同じ時間帯に発表された。約300ドルで発売されるとみられるこれらの端末について、一部のアナリストからは早くも「価格が高すぎるのでは」との疑問の声が上がっている。
Samsungのスマートウォッチ「GALAXY Gear」は、市場をリードする同社のGALAXYスマートフォンと連係するアクセサリ製品として機能し、写真やハンズフリー通話、インスタントメッセージングといった基本的な機能を小さな画面で実行できる。
Qualcommのスマートウォッチ「Toq」は、音楽再生のほか、通話やメッセージのやり取りが可能だ。明るい太陽光の下でも見やすい、タッチ対応のカラーディスプレイ「Mirasol」を搭載する初めてのスマートウォッチとなる。
Qualcommはスマートフォンやタブレットに使われるアプリケーションプロセッサの世界市場でトップシェアを誇る。そのQualcommが投入するスマートウォッチは、大ヒットを狙った端末というより、Mirasolディスプレイを売り込むためのリファレンス端末と位置付けられる。今後さまざまなタイプのウェアラブル端末が普及していく中で、Mirasolの技術がより広く採用されるのを期待しての動きだ。
一方、世界第1位の携帯電話メーカーであるSamsungはGALAXY Gearの投入によって、自社のAndroid搭載スマートフォンの魅力を押し上げ、ライバルの米Appleに対する優位性を維持したい考えだ。
GALAXY Gearの発表は、欧州最大の家電見本市「IFA」がベルリンで開幕するのに合わせて行われた。この発表には、Samsungが技術革新の面でAppleの単なる「迅速な追随者」ではないことをアピールする狙いもある。Appleは9月10日に新型「iPhone」を発表するとみられているが、ウェアラブル端末はまだ1つも発表していない。
Samsungの共同CEOであり、モバイル事業の責任者であるJ.K.シン氏は「Unpacked 2013 Episode 2」と題した同社の新製品発表イベントにおいて、「世界で新たなファッションアイコンになると確信している」と語った。
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