「この秋以降、LTEのエリア競争はKDDIが断トツで勝てるのでは」——KDDI(au)の田中孝司社長は9月2日に開いたLTEネットワークに関する説明会で胸を張った。800MHz帯LTEの実人口カバー率は来年3月末に99%まで拡大。9月中の発表がうわさされる次期iPhoneは800MHz帯LTEに対応するとうわさされており、「もしそうならば、iPhoneのLTEエリア競争に終止符を打てるのでは」と自信をみせる。
800MHz帯LTEの人口カバー率は99%に
KDDIは、LTEを800MHz帯(10MHz幅・最大75Mbps)、1.5GHz帯(同)、2.1GHz帯(5MHz幅・最大37.5Mbps、10MHz幅・75Mbps、15MHz幅・112.5Mbps、20MHz幅・150Mbps)の3バンドで展開。800MHz帯をベースバンドとして広域をカバーし、残りの2つの周波数帯で高速化する戦略だ。
800MHz帯LTEの実人口カバー率は8月時点で97%。来年3月末までに99%をカバーする予定だ。2.1GHz帯は8月末時点で72%だが、来年3月末までに80%以上、15年度には90%を目指していく。2.1GHz帯は、人口密度が低い地方を中心に高速化を進めており、最大150Mbpsが利用できる20MHz幅のエリア展開も8月にスタートしている。
今夏以降に発売するAndroid端末は800MHz帯、1.5GHz帯、2.1GHz帯の3バンドに対応。800MHz帯の広いカバーエリアを利用しながら、1.5GHz帯、2.1GHz帯対応エリアでは高速通信を活用でき、「LTEスタート当初から考えていたことがほぼ完成する」と田中社長は話す。
次期iPhoneで「LTEのエリア競争にピリオド」か
次期iPhone発売で、iPhoneの“つながりやすさ”をめぐる状況も一変しそうだ。KDDIのiPhone 5は2.1GHz帯LTEにのみ対応しており、LTEのエリアカバー率でソフトバンクモバイルに見劣りしていたが、次期iPhoneは800MHz帯LTEに対応する可能性が高いとされる。
次期iPhoneが本当に800MHz帯LTEに対応するか否かについては「ちょっとここでは言えないです」と言葉を濁す田中社長だが、その表情には笑みが。「もしiPhoneが800MHzに対応するなら、LTEのエリア競争にピリオドが打てるのでは」と自信をみせる。
2.1GHz帯LTEの基地局数(総務省の免許許可数)は2万4000と他社より2〜3割少ないが、“プラチナバンド”の800MHz帯LTE基地局数は他社の追随を許さない3万1000局。「ビルの中や建物の奥まで浸透するプラチナバンドの800MHz帯を10MHz分、LTEのために空けていた。秋から競争軸が変わっていくのではないか。これからが楽しみだ」
既存のiPhone 5ユーザーに対しても、2.1GHzのエリアをスピーディに拡大していくことでLTEネットワークを使いやすくしていくほか、「もし800MHz帯LTEに次のiPhoneが対応するとして、次期iPhoneを即使いたいというニーズがあるなら、それなりに施策・プログラムを考えないといけない」と、移行キャンペーンの実施をにおわせた。
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