“年末商戦でのシェア向上”が最優先
ブラザー販売は8月26日、インクジェット複合機「PRIVIO(プリビオ)」シリーズの新ラインアップを発表した。主な製品仕様と価格は既報の通りで、こちらの記事を参照していただきたい。
今回の新製品では、基本性能の向上などハードウェア面の進化よりも、スマートフォン/タブレットとの連携機能や、複合機本体からクラウドサービスを利用してPCなしで年賀状を作成できる「年賀状アプリ」(MFC-J720D/DW、DCP-J152Nは非搭載)を重点的に訴求する構えだ。製品発表会で同社は、その理由を「2013年度の課題を“年末商戦でのシェア向上”と定めた」からだと説明した。
発表会の冒頭で、同社代表取締役社長 片山俊介氏は「景況感の改善で消費の上向きが期待されている。PC業界についてもXPサポート終了による買い替え需要があり、年末商戦に期待がかかる」と述べた。
ブラザーのインクジェットプリンタは2012年に「MyMio(マイミーオ)」からPRIVIOにブランドを刷新し、2012年度の販売目標を65万台、シェアの目標を15%と定めた。「目標にはやや届かなかったものの、台数とシェアはともに順調に伸びている」(片山氏)という。
同社がさらなるシェア向上のために課題としたのは“年末商戦における弱さ”だ。月ごとのシェアを分析すると、年賀状需要などでプリンタが最も売れる12月のシェアが、ほかの月に比べて著しく低いことが分かった。「12月以外はほぼ10%を超えているが、12月に限っては8%程度に落ちる。ブランドを刷新する前よりも確実に伸びているものの、国内“第3の選択肢”となるためには、12月のシェアアップが不可欠」(同社取締役 三島勉氏)だという。
そこで同社は、ユーザーへのアンケートや1000枚以上の年賀状のデザイン調査を行い、「デザインにこだわった年賀状を出したいが、作成が面倒」というユーザーの価値観を抽出した。新ラインアップの目玉である「年賀状アプリ」はこうした年賀状印刷への価値観に応えるためのものだ。
「より簡単にオリジナルの年賀状が作れる、という部分にこだわった。今年の年賀状はブラザーのプリンタで印刷するという人を増やしたい」(三島氏)という。新製品の2013年度の販売台数目標は75万台で、インクジェットプリンタ市場全体で15%以上のシェア獲得を図る考えだ。12月のシェア目標については「普段よりも5%の向上を目指しているので13%とする」と三島氏は宣言した。
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