LINEは8月21日、音楽配信やECサービスに参入すると発表した。「LINE MUSIC」を年内に公開するほか、スマートフォンに特化したECサービス「LINE MALL」を今秋スタートし、ビデオ通話機能も追加。複数の決済手段を選べる有料アイテムストアもオープンする。年内の3億ユーザー突破を見込み、「世界中の人の生活の一部としてLINEを世界の共通言語にしたい」(森川亮社長)とプラットフォーム強化を着実に進める。
LINE MUSICは、LINEアプリ内で楽曲を楽しめる音楽配信サービス。LINE上のつながりであるリアルグラフを活用し、購入した楽曲をLINE上の友人と共有するなど、「LINEならではの新しい音楽の楽しみ方を提案する」という。まず国内向けにスタートし、世界展開も計画している。
今秋オープン予定の「LINE MALL」は、企業が出展するショッピングモール形式に加え、ユーザー同士が売買を行えるC2C(Consumer to Consumer)プラットフォームとしても構築し、「いつでもどこでも、誰でも簡単に商品の売買を行うことができる」ようにする。LINEアプリ内で商品検索から決済まで完結できるようにし、スマートフォンに特化したインターフェイスで「オンラインでの買い物経験自体を変えていく」(舛田執行役員)と意気込む。
ビデオ通話機能は今秋に全世界で公開。iPhone/Android/PC(Windows/Mac)間で、無料でビデオ通話を利用できるようになる。
9月に公開する「LINE Web Store」は、有料スタンプやゲーム内アイテムを購入できる独自ストア。従来のApp Store/Google Playによるアプリ決済だけではなく、クレジットカード決済のほか、新興国を中心としたクレジットカード決済以外での購入ニーズの高まりを受けてPayPalやプリペイドカードなどでも支払えるようにする。まず日本と台湾で、その後各国に広げる計画だ。
「LINEを世界の共通言語に」 ゲームプラットフォームは「国内ナンバーワン」
「次の目標は年内に3億人」──21日、同社が千葉・幕張メッセで開いたカンファレンス「Hello, Friends in Tokyo 2013」で、森川亮社長は力を込めた。ユーザー数は同日時点で2億3000万人を突破。昨年比460%と急成長しており、うち80%が海外ユーザー。先発のメッセージアプリを上回る普及を見せる。
森川社長は「デバイスの進化でコミュニケーションの在り方自体が変わっている。LINEは友達や家族、恋人との親密な関係をより深めていくためのツールとして、そして災害時のインフラとしても機能するようになり、今まさに革命をリードしているところ」という。「より多様なコンテンツへのゲートウェイとなり、世界中の人の生活の一部として浸透する未来」を目指し、「LINEが世界の共通言語になるのが目標」と力を込める。
アプリは17言語に対応し、各国の人気キャラや企業とのコラボも積極的に進めている。ツールやゲームなどの連携アプリを増やし、プラットフォームとして機能させる戦略も順調だ。「LINEカメラ」(4800万ダウンロード)、「LINE Play」(1400万ダウンロード)などの連携ファミリーアプリは52にまで拡大し、総ダウンロード数は2億9000万を超えた。
ゲームアプリは「LINE POP」「LINE Bubble」を中心に月間売り上げは26億円を超え「この1年で想像以上のスピードで国内ナンバーワンゲームプラットフォームとなった」(舛田淳執行役員)という。開発の際、重視しているのは「共通の話題としてコミュニケーションにつながる」こと。シンプルで誰でも簡単に遊べるアプリを厳選して提供していくため「早急なオープン化は望んでいない」(舛田執行役員)とした。
4〜6月期の売上高は約98億円となり、前年同期比32倍に。マネタイズの柱は(1)有料スタンプ課金、(2)ファミリーアプリ内課金、(3)BtoBマーケティング、(4)ライセンスやキャラクターグッズ──の4つ。特に人気キャラや企業とコラボした有料スタンプの売り上げは月間10億円を突破し、既にフィーチャーフォン時代のデコメ市場全体の半分に匹敵する規模に成長。今後はアプリ自体の「着せ替え」機能も充実させる。
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