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新聞の“Amazon化”──ベゾスはWashington Postをどう変えるのか

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REUTERS

 赤字が続いているオールドエコノミーの砦の1つ、米Washington Post紙を電子商取引界の鬼才ジェフ・ベゾス氏がどのように改革するかをめぐり、IT業界やメディアでは議論が沸騰している。

 小売業に変革をもたらしたベゾス氏の今後の方針として主に予想されているのは、「由緒あるWashington Post紙の印刷版を廃止させる」「同紙のリアルタイムコンテンツをTwitter世代に拡張する」「Amazonがオンライン購入者に関して持つ、他にほとんど比類のないほど大量のデータを共有する」「同紙の50万人の読者に書籍からスマートフォンに至るさまざまな商品を販売するための新奇な手法を考案する」といったことだ。

 米Amazon.comの創業者兼CEOであるベゾス氏はこの創業135年の老舗新聞社を2億5000万ドルで買収することで合意に達して以来、まだあまり多くを発表していない。ただし同氏は8月5日、従業員に対し、「インターネットが新聞事業を根本から変えつつある中、Amazonにはこの先、発明と実験が必要となる」と語っている。

 Washington Post紙の買収はAmazonではなくベゾス氏が個人で行うものだが、ベゾス氏はAmazonならではの戦略を駆使して、何らかの方法で新聞事業を「Amazon化する」と広く期待されている。ベゾス氏は19年前にガレージでAmazonを創業した。

 はっきりしている点が1つある。それは、新聞社のオーナーにとってここ10年来の悩みである「ほかのメディアへの広告主の流出をいかにして食い止めるか」という問題の解決に著名な革新者であるベゾス氏が加わることで、信頼性が圧倒的に高まるということだ。

 人気のオンラインコンテンツ共有プラットフォームBoxの共同創業者兼CEOであるアーロン・レビー氏は、次のように指摘する。「物理的な形よりもデジタルな形のほうが情報ははるかに迅速に伝わることを理解したAmazonは、今や電子書籍で世界のリーダーとなっている。同じことが新聞にも当てはまる。ベゾス氏はこの変化を非常によく理解している。同氏なら、新聞が同様の移行を果たすのを手助けできる」

 この移行の最初の犠牲者となるのは、新聞そのもののようだ。ベゾス氏は2012年、ドイツの新聞紙の取材に応じ、「印刷版の新聞は20年後にはほとんど消えているだろう」と語っている。

 さらにレビー氏は次のように指摘する。「ベゾス氏はオンライン動画サービスNetflixのCEOであるリード・ヘースティングズ氏をまね、物理的な流通網をストリーミングサービスに切り替え、顧客の好みを反映できるようすることも可能だ」。つまり、PCやタブレットやスマートフォンを介して、より多くのニュースをリアルタイムで提供するということだ。

 Washington Post紙は既にAmazonの電子書籍リーダー「Kindle」のほか、Appleの「iPad」やそのほかGoogleのAndroidを搭載する各種の端末でも読めるようになっている。だが今後は、より緊密な連係を期待できそうだ。

 Washington Postの最大株主の1つである投資会社Gardner Russo & Gardnerのトーマス・ルッソ氏は、次のように語る。「アイデアの1つとしては、Washington Post紙が自社ブランドのタブレットでニュースを提供するという可能性も考えられる。タブレットは携帯電話会社の販売奨励金のような形で、1年間の購読契約付きで安く売ることもできる」。Amazonは長年、電子書籍リーダーのKindleを原価で販売している。端末の購入者がその後、同社のオンラインストアにアクセスしてくれることを見込んでの戦略だ。

 「今のITの浸透具合からすれば、コスト面ではそれほど害の出ない戦略になるはずだ。新聞の読者を費用のかかる印刷版からオンラインへと移すことで、コスト構造を新たな方向に転換できる」とルッソ氏は続けている。

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