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青空文庫呼び掛け人・富田倫生さん死去

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 インターネット図書館「青空文庫」の創設者であり、呼びかけ人である富田倫生さんが、8月16日に死去した。61歳だった。

 『パソコン創世記』『本の未来』などの著書を持つ富田さんは1997年、芥川龍之介や太宰治など、死後50年が経過するなど著作権の消失した文学作品を収集、無料で公開するインターネット上の電子図書館「青空文庫」を設立。(電子)出版と図書館、というベクトルの違いはあるが、電子の世界に早くから可能性を見いだしていた人物だ。

 青空文庫という名称には、本を読みたいと思ったとき、そういう気持ちが心に芽生えたら、青空を見上げるように、誰でも天からの恵みのように本を手にとることができたら、という思いが込められており、収録作品数は本日現在で1万2129点となっている。

以来、五百年に渡ってその役割を担った印刷本に代わり、私は電子本が新しい触媒となるのではないかと思いはじめている。グーテンベルクのように、そしてあまたの出版人のように、この道がどこに続くかを私は正しく見通せないだろう。だが、直感なら口にできる。

 印刷本は国家を作った。インターネットの電子本は、その境を一瞬に越える。とすれば、生まれつつあるのは、地球規模の枠組みで新しい共通の価値を見いだすための触媒ではないだろうか。私たちが築きつつある新しい文書交換の枠組みの彼方に、私は一つを目指す世界の夢を見る。

富田氏が執筆した「短く語る『本の未来』」より


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