「熱が出たらタオルを水で濡らして絞り、額に置く。『水まくら』や『氷のう』で頭を冷やす」——。その昔、風邪をひいて熱が出たときには、このような対応をしていたはず。しかし、20年ほど前に登場したある商品によって、冷たいタオルや水まくらを手放した人も多いだろう。その商品とは「冷却ジェルシート」(以下、冷却シート)だ。
国内の冷却シート市場は47億円と言われているが、大阪に本社を置く小林製薬は53%のシェア(2013年4月〜2014年3月)を維持する。国内では競合他社を大きく引き離し、さらに海外でも「熱さまシート」がじわじわ人気を集めているのだ。
日本で「熱さまシート」が発売されたのは1994年のこと。海外展開はその2年後の1996年、香港からスタートした。その後、東南アジア、米国、欧州などに販売エリアを拡大し、現在では世界約20カ国で展開。国内外の売上比率をみると、2014年度に初めて海外売り上げが国内を上回ったのだ(国内48%、海外52%)。
「熱さまシート」は世界で年間1億8000万枚ほど売れているそうだが、なぜここまで普及したのか。今後の成長が期待される東南アジア市場を受け持つ秋田浩司さんに話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
関連記事
- 輸出量7年で42倍! ニッカウヰスキーが海外で売れている&売ることができるワケ
ニッカウヰスキーの商品が売れている。「NHKのドラマ『マッサン』効果があって売れているんでしょう?」と思われるかもしれないが、日本だけでなく、海外でも売れているのだ。その理由は……。 - 生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい
世界中で販売されているスーパーカブ(ホンダ)の累計生産台数が9000万台を超え、あと数年で1億台を突破しそうだ。50年以上前に発売されたスーパーカブは、なぜ今でも売れ続けているのだろうか。ホンダの広報部に聞いた。 - 値段は競合の2倍——それでもカシオの電卓がインドで売れる、2つの理由
1980年代からインドで電卓を販売していたが、値段が高いため知名度の割に売れていなかったカシオ。しかし2010年発売の新商品が大ヒット、以来インドでの売れ行きはずっと好調だという。高くても売れる、その秘密とは? - なぜ中国で“甘いマヨネーズ”が売れたのか キユーピーの地道な作戦
中国で“甘いマヨネーズ”が売れていることをご存じだろうか。キユーピーが中国で展開を始めたのは1993年。当時の家庭に「マヨネーズ」はなかったが、どのようにして普及していったのだろうか。同社の広報部に聞いた。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Facebookコメント