2007年頃に放映された「Macは安全」というテレビCMをご記憶だろうか。MacはWindowsに比べてウイルスなどの危険性が低いという内容だ。Macの安全神話が誕生し、「セキュリティソフトなど不要!」というユーザーも多かった。しかし、iPhoneの爆発的な普及を受けてAppleユーザーは急拡大し、もはやセキュリティのリスクとは無縁ではない言われる。それではどのくらい危ないのか——Kaspersky プリンシパル セキュリティ リサーチャーのセルゲイ・ゴロヴァノフ氏に現状や対策などを聞いた。
安全神話を崩壊させたマルウェア事件
テレビCMが話題となった当時に作られたMacの安全神話は、今では過去のイメージだという。Appleもユーザーにセキュリティソリューションの導入を積極的に推奨するようになり、近年のOS XやiOSではセキュリティ機能が進化が著しい。ゴロヴァノフ氏によれば、Appleの安全神話を崩壊させたのが、2011〜2012年頃にMacユーザーの間で大流行した「Flashback」と呼ばれるマルウェアだ。
Flashbackは、遠隔操作機能などを備えたトロイの木馬型のマルウェア。Flash Playerのインストーラになりすまし、不正に改ざんされたWebサイトを閲覧したユーザーのマシンに感染する。世界で60万台以上が被害に遭ったとされ、ゴロヴァノフ氏によると全ユーザーの7〜10%に影響が及んだ。Flashbackの感染によってサイバー攻撃者に操られる状態となったMacのボットネットは、今も問題になり続けているという。
「Flashbackが出現してから、Appleはセキュリティベンダーと積極的に協力するようになった。その結果としてOS Xではセキュリティ機能が搭載が進み、マルウェア対策の必要性をユーザーへ呼び掛けている」(ゴロヴァノフ氏)
現時点でFlashbackに匹敵するほどの高度な機能を備えたマルウェアは登場していないというが、Macを狙うマルウェアは珍しくない。マルウェアの数などはWindowsより少ないが、それが「Mac=安全」ということを意味するわけではない。
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