アパレル小売り市場が、やや回復基調にあるという。ただ、バブル期の1990年代と比べるとかなり縮小したのは事実だ。1カ月の消費支出のうち、アパレル関連(被服および履物など)の支出が占める比率は約2.5%(総務省統計局調査2013年度結果より)ほど。2002年の同3%強と比べ、消費者の財布のひもは固いままだ。
この状況下で、創業以来25期連続で増収を達成し、ここ最近は3期連続で過去最高益も更新するニッポン発の元気なアパレルブランドがある。「ユナイテッドアローズ」が好調な理由の1つに、“スタッフも感動させた”新たな業務基幹システム「UA2.0」があった。
従業員数3391人(2014年3月末時点)を擁するユナイテッドアローズは、1989年に設立されたアパレル企業。単体売上高は1182億1200万円(2013年3月期、前期比110.8%)に達し、UNITED ARROWS、BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS、UNITED ARROWS green label relaxing、CHROME HEARTSなど多彩なブランド業態とともに、国内に232店舗(同)で展開する。2013年10月には初の海外直営店「ユナイテッドアローズ台北店(台湾)」をオープン。海外展開・グローバル化も積極的に取り組んでいる。
「ニッポンにユナイテッドアローズあり。世界中の客からも注目され、愛されるブランド」を目指し、2020年までに現在の2倍まで売上高を高めるには、管理・情シス部門で何を考えるべきか。改革と成長を担う新たなITシステム「UA2.0」を構築した事情と経緯、ちょっとしたヒントを導入をユナイテッドアローズ 情報システム部業務システムチームリーダーの木下貴博氏に聞いた。
経緯と課題:ITコストが適正でなく、戦略的なITパートナーも不在
経営陣から下った大枠のミッションは「ITコストを抑えよ」。ここは他社ともあまり変わらないはずだ。まずは、どんなITコストがどんな割合を占めているかをすべて精査し、課題とテーマを選定した。具体的な課題を、
- 次世代の成長に向けた基幹業務システム・インフラの更新が必要
- 新テクノロジーの潮流へ対応できていない
- IT運用保守費用が適正でない
- 戦略的パートナーの不在
の4点に絞り込み、実施すべき具体的な項目として、
- SIerやソリューションベンダーと協働体制を築く
- モノについて:基幹システムの刷新
- カネについて:ITコストの最適化
- ヒト・組織について:IT体制戦略企画機能の強化
に注力すると策定。これを「UA2.0プロジェクト」と名付けた。
「仕組みは、長いもので10年が経過しているものもありました。IT技術の進化ですでに老朽化したものもあり、2020年には確実にボトルネックになります。新テクノロジーに対し後手後手に回りがちだったので、これに対応するため、全領域を包括して未来も描くよう協力してもらえる戦略パートナーも必要でした。また、小売業で重要な、商品調達系基盤と在庫管理基盤は特にコストがかかっていたので、ここにメスを入れることにしました」(木下氏)
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