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スマホ時代は若年層もターゲット? マカフィーが迷惑電話対策アプリを提供する理由

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photoマカフィーコンシューマ事業統括取締役田中辰夫氏

 450億円——。これは、2014年1月から10月までに振り込め詐欺などによる迷惑電話の被害総額(警察庁調べ)だ。これまで“オレオレ詐欺”という言葉に象徴されていたように、いわゆる振り込め詐欺は単身の高齢者を狙い、固定電話にかけられることが多かった。しかし、近年はスマートフォンの普及により、シニア向けスマホを持つ高齢者や、還付金詐欺と言われるような手口で若者をターゲットにする事例も増えてきているという。また、金銭的な被害はなくとも、セールスや勧誘などで大切な時間を割かれてしまうケースもあり、迷惑電話に当てはまりそうな電話は日々増えていっている。

 そうした問題を解決するべく、マカフィーはAndroid用アプリ「マカフィーセーフコール」を開発。「既に400万件ものマルウェアのサンプルが存在するものの、ユーザー側でほとんど迷惑電話の対策はなされていない」(マカフィーコンシューマ事業統括取締役田中辰夫氏)という理由から、モバイル向けのサービスを提供するに至った。


photoスマートフォン向け詐欺/迷惑電話の被害

簡単設定で詐欺/迷惑を防止 ユーザーの任意設定も可能

 マカフィーセーフコールは、まずはキャリア向けサービスとして提供される。12月4日にKDDIの「auスマートパス」会員向けに提供し、その後はNTTドコモユーザー向けにもサービスを提供する。今後はGoogleの「Playストア」などで提供する可能性もあるが、「まずはユーザーの利便性を第1に考えて、キャリアと提携してサービスを提供したい」と田中氏は話す。

photoマカフィーセーフコール
photo概要

 マカフィーセーフコールは、トビラシステムズが管理する「詐欺電話・迷惑電話番号リスト」を活用し、かかってきた電話番号を「緑/黄/赤/灰」の4色で表示し、それぞれ「安全な着信/迷惑な着信の可能性/危険な着信の可能性/不明な着信」かどうかを画面上で通知してくれるというもの。緑は「アドレス帳に登録されている番号、カスタムリストで『許可リスト』に追加された番号」、黄は「迷惑電話に利用された/利用されている番号」、赤は「詐欺電話に利用された/利用されている番号」、灰は「公衆電話、国際電話、非通知番号や、データベース、カスタムリストに存在しない番号からの着信」を表す。詐欺電話と迷惑電話の判別はトビラシステムズが独自に行っている。

photoアプリ画面イメージ図
photoアラートの種類
photoメインメニューは3つ

 また、ユーザーは「高・中・低」という3つのセキュリティレベルを設定したり、ユーザーが任意で特定の番号を拒否設定したりできる。セキュリティレベルが「低」「中」だと、画面にアラートが表示されて通話か着信拒否かを選ぶことになるが、セキュリティレベルが「高」の場合は、危険性のある番号からの着信は、自動で着信拒否される。なお、初期状態では「中」に設定されている。

photoセキュリティレベルが「低」「中」の場合
photoセキュリティレベルが「高」の場合
photoトビラシステムズの明田篤社長

 電話番号リストはトビラシステムズが管理しているため、リアルタイムで自動更新されていく。トビラシステムズの明田篤社長は、「今後はユーザーが任意で設定したリスト情報も活用していきたいが、その場合はユーザーに許可を取る形で情報を収集することを明示する」と説明する。また、実際に詐欺電話の可能性がある番号を見つけても、警察に知らせてからキャリアが本人確認をするという工程があるため、電話番号を止めるまでに「最低3日かかる」(明田氏)という。番号リストは「独自調査とユーザーのフィードバック(本アプリ以外のサービス)がメインで、細かいところは機密情報なので教えられない」と明田氏は話す。

 ワイモバイルが提供している固定電話機向け「迷惑電話チェッカー」で用いられている番号リストは約2万5000件だが、マカフィーセーフコールでは、モバイルに特化した(携帯電話あての)番号リストを用いるので、リスト件数は変わってくるということだ。

 なお、iOS向けアプリは「Appleが電話回りのAPIを提供していないため、実装が難しい」(マカフィーCMSB事業部本部長 青木大和氏)としている。また、050から始まる番号などのIP電話サービスからの着信は防止できず、あくまで080/090/070から始まるキャリア回線を用いた音声通話が対象になる。今後は「IP電話なども対象としていきたい」と青木氏は展望を語った。

ユーザー情報はどこまで収集する?

 最近では企業の情報流出などが問題化されており、セキュリティサービスを提供する上でもどこまでユーザーの個人情報を収集するのかということが問題視されている。マカフィーセーフコールでも「どこまでを個人情報と呼ぶかにもよるが、いずれにせよユーザーから情報を収集する時は必ずユーザーの許可を得る形にする」(田中氏)ということだ。

 トビラシステムズの電話番号リストも、より危険性の高い番号を判別するためにはユーザーからのフィードバックが不可欠になってくる。電話番号を取り扱うサービスとあって、ユーザー側も情報流出によりシビアになることが考えられる。今後アプリをバージョンアップしていくにあたり、ユーザーが不信感を持たないような仕組み作りが求められていきそうだ。

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