インテルは7月30日、同社の最新SSDについて製品説明会を実施した。コンシューマー向けの「530」シリーズと、データセンター向けの「S3700/S3500」シリーズで、いずれも20ナノメートルプロセスのNANDフラッシュを採用する製品だ。説明会では、米Intel NVMソリューション・グループマーケティングディレクターのPeter Hazen(ピーター・ヘイゼン)氏が各製品の詳細やマーケティング戦略などを解説した。
インテルがSSD市場に参入した2008年と、2013年現在の状況を比較すると、同社製SSDの出荷台数は10倍に増加している。ヘイゼン氏によれば、開発サイト数は4から12へ、製品ポートフォリオは2つから18へと拡大し、生産工場も1つから3つに増加。技術面でも50ナノメートルプロセスから20ナノメートルプロセスに進化している。
ヘイゼン氏は「インテルは非常にユニークな位置付けになっている。というのも、NANDベンダーとして唯一、SSDに100%コミットしているからだ。ほかのNANDベンダーは、幅広い市場セグメントに対処しているが、我々はSSDに注力してクライアントに提供している」と述べ、開発リソースの集中による性能・品質面での優位性をアピールする。
現在インテルのSSDは、ターゲットセグメント別に「Intel SSD Data Center Familiy」「Intel SSD Professional Familiy」「Intel SSD Consumer Familiy」の3シリーズが用意されている。このうちコンシューマー向けには、2.5インチSATA SSDとして「520/320」シリーズ、mSATA SSDとして「525」シリーズを提供してきたが、今回新たに「530」シリーズが加わった。
既報の通り、2.5インチ、mSATA、M.2フォームファクターの3種類で展開され、Ultrabook向けに省電力性能に注力しているのがトピックだ。具体的には、アクティブ時の消費電力が140ミリワット、アイドル時が50ミリワットに低減したのに加え、「Dev Sleep」モードにより200マイクロワットまで消費電力を抑えられる。この新しいアイドルモードは、Haswell世代のCPUとDev Sleep対応SSDとの組み合わせで利用でき、「特別なコンンフィギュレーション」(システム側に実装される)によってI/O回りの消費電力をカットする仕組みという。「これによりUltrabookでさらにバッテリー駆動時間を延長できるようになる」とヘイゼン氏は説明する。
一方、データセンターやエンスージアスト向けに提供される「S3700/S3500」シリーズは、最大800Gバイトと広範囲の容量をカバーし、これまでの高速なランダムIOPSや信頼性に加えて、インテル製コントローラと最適化されたアルゴリズムにより「一貫した(consistent)性能」を実現しているのが特徴だ。
ヘイゼン氏は、SSDのスペックシートに記載されているIOPSがアベレージの値であるため、ダイナミックレンジが広すぎるとスペック以下の性能が出る可能性があると説明する。
例えば、一般的なSSDでは、ウェアレベリングやエラーリカバリーなどのバックグラウンド処理が発生すると、性能がスペック値を大きく下回り、実際の性能には大きなばらつきが出てしまう。一方、S3700/S3500では、アルゴリズムの最適化によってバックグラウンドのホストリクエストに即座に対処できるようにし、“一貫した性能”を実現した。この一貫した性能が特に大きく影響するのは、複数台のSSDで構築されたRAIDシステムだという(ドライブ間の同期をとるため1番低いドライブの性能にあわせて動作するという仕組み上、性能にばらつきが大きいと安定した性能を発揮でない)。
ヘイゼン氏は、4KランダムIOPSの比較グラフを示して、「(S3700/S3500なら)予測ができる形で必要なときにいつでも高性能を得られる」とアピールした。
なお、今回リリースされた530シリーズは、従来と同じSATA 6Gbps接続だが、最近ではM.2フォームファクターでPCI Express接続の高速SSDが各社からリリースされている。今後の開発計画について質問が出ると、ヘイゼン氏は「すでにデータセンター向けには第2世代のIntel SSD 910シリーズで先行している」と述べ、より高速なSSDに対する需要は今後さらに増えていくだろうと説明する一方で、「PCI Express接続のSSDについては現在開発中の製品もあるが、それは後日改めて発表する」として具体的な言及は避けた。
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