米Autodesk(以下、オートデスク)は2014年12月2日、開催中の同社ユーザーイベント「Autodesk University 2014」(米国ラスベガス、会期2014年12月2〜4日)で、同年5月に参入を発表した3Dプリンタのブランド名と出荷時期を明らかにした。
オートデスクは、2014年5月14日(現地時間)に、3Dプリンティング向けオープンソフトウェアプラットフォーム「Spark」の展開と、独自開発の3Dプリンタをリリースを発表。ソフトウェアベンダーがハードウェアに参入することで大きな注目を集めていた(関連記事:3Dプリンタに新規参入続々、オートデスクとローランドDG)。
新たに発表時期を明らかにした3Dプリンタのブランド名は「Ember」。2014年12月2日から発売で、こちらのWebページから申し込み可能。出荷時期は2015年1月だとしている。価格は5995米ドルだという。オープンソースのソフトウェアやハードウェアで構築されていることが特徴で積層ピッチは最も薄くて10μm。また最小サイズで100μmのものが造形できるという。スペックの詳細や事業戦略については詳報をあらためてお伝えする。
同社では、3Dプリンティング向けオープンソフトウェアプラットフォーム「Spark」を展開。SparkはPC上の3Dオブジェクトのデジタル情報を3Dプリンタに転送するための効率的な方法を提供する。またSparkを無償で公開することで、3Dプリントの普及と革新を推進することを目指しているという。3DプリンタEmberはこのSparkで実現する1つのリファレンスモデルとし、ここで得られた知見をさらにオープンソースとして幅広く提供する。同社社長でCEO(最高経営責任者)のカール・バス(Carl Bass)氏は「オープンソフトウェア、オープンハードウェア、オープンマテリアルで3Dプリンタの潜在的可能性を広げていく。将来的には3Dプリンタからさらに広げていくことも考えている」と語っている。
3Dプリンタのオープン化は、主要特許切れもあり英国「RepRap」などを中心に幅広い動きがあり、これらの取り組みが3Dプリンタの低価格化と一般化を推し進めているという背景になっている。オートデスクでは「一般向けは対象としていない」としているが、さらに3Dプリンタの利用範囲を広げることで、利用が難しかった領域での使用を広げていくことを目指す。
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