MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する格安SIMサービスが盛り上がりを見せる中で、そのSIMカードを装着して使用できるSIMロックフリースマートフォンが日本でも増えてきた。日本で発売されるSIMロックフリーのLTEスマートフォンは、これまではGoogleのNexusシリーズやAppleのiPhoneなどに限られていたが、2014年6月にHuaweiがSIMロックフリーの製品を発売したことを皮切りに、LGエレクトロニクス、ZTE、そしてASUSといった、中国、韓国、台湾のメーカーが、立て続けにSIMロックフリーのLTEスマートフォンを日本でも取り扱い始めた。
キャリアが発売している最新のハイエンドモデルと比べると、スペックは抑えめだが、価格は安いもので2万円台と買いやすい。キャリアの最新モデルが一括で6万〜9万円ほどすることを考えるとお買い得だ。一方、安かろう悪かろうではないか……と心配している人も多いかもしれないが、Huawei、LG、ZTEは世界的に見て品質に厳しいとされている日本の通信キャリアに多くの端末を供給してきており、ASUSはタブレットで世界的に大きなシェアを持つ。品質に関して心配する要素は少ないだろう。あとはどれだけのスペックを持つかが重要になってくる。
本コーナーでは2014年6月〜12月に発売された、または発売予定のLTE対応SIMロックフリースマートフォンのスペックや性能を比較していく。取り上げるのはASUSの「ZenFone 5」、Huaweiの「Ascend G6」「Ascend P7」「Ascend G620S」、LGエレクトロニクスの「LG G2 mini」、ZTEの「ZTE Blade Vec 4G」の6機種。まずは各機種の特徴や基本スペック、そしてスペックからは分からない持ちやすさをチェックした。
ここでは4.5〜5型に絞っているが、12月に発売予定の「Ascend Mate7」と「Nexus 6」については「iPhone 6 Plus」も交えて別途レビューする予定だ。また、発売時期や価格帯の関係で今回はレビュー対象には入れていないが、「Nexus 5」や「iPhone 5s」「iPhone 5c」「iPhone 6」などもLTE対応のSIMロックフリースマホとして発売されている。
まずは各機種の特徴をおさらいしていこう。簡単な○×も記載した。
ZenFone 5:スペックも価格も妥協したくない人へ
ASUSが日本で初めて投入したLTE対応のスマートフォン。HD表示(720×1280ピクセル)対応の5型IPS液晶、クアッドコアCPU、2Gバイトメモリ、800万画素のメインカメラ/200万画素のインカメラを搭載して、価格は16Gバイト/32Gバイトモデルいずれも税別で2万円台を実現しており、コストパフォーマンスの高さは随一といえる。
手袋を付けたままでもタッチパネルを操作できる「手袋モード」、ディスプレイをキズから守る「Corning Gorilla Glass 3」、日本語入力システム「ATOK」、初心者に向けた「簡単モード」など、使い勝手を重視した機能や設定も豊富だ。カメラは薄暗い場所でも明るく撮れる「ローライトモード」など、18種類の多彩なモードを用意した。
ココが○ |
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・このスペックで2万円台の価格 |
・UIが工夫されていて分かりやすい |
・背面カバーを取り外して着せ替えができる |
ココが× |
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・ベゼルが太く、全体的にサイズがやや大きい |
・センサーキーが光らず、暗い場所ではやや見にくい |
・NFCに対応していない |
Ascend G6:カジュアルにスマホを使い、自分撮りを楽しみたい人へ
日本の通信キャリアに数多くの通信デバイスを供給してきたHuaweiが、日本で先陣を切って発売したSIMロックフリースマートフォン。ディスプレイはqHD表示(540×960ピクセル)対応の4.5型液晶、OSはAndroid 4.3、メモリは1Gバイトなど、ミドルレンジクラスのスペックだが、500万画素という高画素なインカメラを搭載しているのが大きな特徴。ビューティーレベルを調整して人肌をきれいに撮影でき、海外を中心に盛り上がっている「セルフィー(自分撮り)」へのニーズにいち早く応えたモデルといえる。
ココが○ |
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・幅65.3ミリ、115グラムの軽量コンパクトボディ |
・500万画素のインカメラを搭載 |
・ビューティーモードで肌をきれいに撮影できる |
ココが× |
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・OSはAndroid 4.3でやや古い |
・ディスプレイの解像度がやや低い |
・W-CDMAとLTEともに800MHz帯に対応していない |
Ascend P7:プレミアムなSIMロックフリースマホが欲しい人へ
Ascend G6よりもワンランク上のハイエンドなスマートフォン。厚さわずか6.5ミリというスリムなボディに、フルHD表示(1080×1920ピクセル)とCorning Gorilla Glass 3対応の5型ディスプレイや2500mAhのバッテリー、1300万画素CMOSカメラを搭載し、キャリアのハイエンド機と遜色のないスペックを実現している。インカメラがAscend G6よりもさらにスペックの高い800万画素CMOSなのも魅力だ。本体側面にはアルミ、背面にはガラスをあしらい、高級感にもこだわった。その分、価格は約4万円とやや高いが、キャリアが発売するスマホほどでない。
ココが○ |
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・薄くて軽いボディ |
・高級感のあるメタルフレームとガラスパネル |
・高解像度なフルHD液晶 |
ココが× |
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・格安スマホの中ではやや高い価格 |
・背面ガラスが割れるリスクがある |
・SIMだけでなくmicroSDの着脱にもピンが必要 |
Ascend G620S:とにかく安価なSIMロックフリースマホを入手したい人へ
12月に発売予定のミドルレンジクラスのスマートフォン。まだ正式な価格は発表されていないが、「2万2000円前後」と予告されており、ZenFone 5よりも安くなりそう。5型のHDディスプレイや800万画素カメラなど、ZenFone 5とスペック的に近く、同モデルのライバルになりそうだ。ただし(後述するが)ディスプレイ、サウンド、カメラなどでAscend G6・Ascend P7より劣る部分が多い。カラーはブラックとホワイトの2色で、背面にはレザーテクスチャーを採用しており、独特の手触りを得られる。Huawei独自の「Emotion UI 2.3」や、初心者に向けた「SIMPLE UI」も利用可能。
ココが○ |
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・2万2000円前後という安さ |
・レザーの触感が心地よい |
・LTEは2100/1800/2600/800MHzをサポート |
ココが× |
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・160グラムというやや重いボディ |
・インカメラの画素数はAscend G6より低い200万 |
・ガラスと液晶パネルの間に空気層がある |
LG G2 mini:使いやすい小型スマホが欲しい人へ
2013年に発売された「LG G2 mini」のコンパクト版。qHD表示(540×960ピクセル)対応の4.7型IPS液晶や、クアッドコアCPU、有効約800万画素CMOSカメラ、2370mAhバッテリーを搭載。スペックはミッドレンジ相当といえる。ボディは丸みを帯びており、側面にはキー類のない滑らかなフォルムを形成している。電源キーとボリュームキーは裏面にあるので、片手で握ったまま押しやすい。あらかじめ登録した順に画面をたたくとロック解除できる「ノックコード」、オンスクリーンキーのカスタマイズ、片手操作モードなど、使い勝手に配慮した機能や設定も豊富だ。
ココが○ |
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・コンパクトで持ちやすいボディ |
・背面の電源キーとボリュームキーが押しやすい |
・バッテリーを交換できる |
ココが× |
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・ディスプレイの解像度がやや低い |
・同クラスのスマホよりも価格がやや高い |
・インカメラの画素数がやや低い |
ZTE Blade Vec 4G:SIMカードとセットで購入したい人へ
NTTコミュニケーションズが「OCN モバイル ONE」で、ソネットが「So-net モバイル 3G」でSIMカードとセット販売しているスマートフォン。端末単体では販売されていないが、上記MVNOのSIMとセットで購入すると、OCN モバイル ONEの場合はSIM込みで2万2500円(税込)、ソネットは24回払いをすれば実質1万4160円(税別)となる。8月のブラックに続き、10月にはホワイトも発売された。freetelブランドとして発売されている「freetel XM」の中身はZTE Blade Vec 4Gと同じだが、こちらの価格は3万2800円(税別)でやや高め。
7.8ミリのスリムなボディにHD表示(720×1280ピクセル)対応の5型IPS液晶、クアッドコアCPU、800万画素CMOSカメラなど、必要十分なスペックを持つ。「Dolby」サウンドに対応しており、音楽や映像を高音質で楽しめる。iPhone付属のイヤフォンを使って同じ曲をiPhone 6と聞き比べてみたが、ZTE Blade Vec 4Gの方が明瞭に聞こえた。6機種の中では、DTSサウンドに対応しているAscend G6、Ascend P7といい勝負だと感じた(Ascend G620SはDTSには非対応)。
ココが○ |
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・SIMカードとのセットで安く購入できる |
・7.8ミリのスリムなボディ |
・高音質なDolbyサウンドを楽しめる |
ココが× |
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・外部メモリを利用できない |
・インカメラの画素数がやや低い |
・UIへの独自の工夫が乏しい |
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