ローランド ディー. ジー.(以下、ローランドDG)は、2014年11月23〜24日に東京ビッグサイトで開催された「Maker Faire Tokyo 2014(以下、MFT2014)」に出展。同年9月3日に発表した「monoFab(モノファブ)」シリーズの製品ラインアップである光造形方式の小型3Dプリンタ「ARM-10」と、小型切削加工機「SRM-20」の2機種の展示デモを行った。
両製品の特長などは既報の通りだが、実は明かされていなかった“ヒミツの扉”が、本体背面パネルの先に隠されていた。メーカー保証外ながら背面パネルを開けると本体基板が現れる。「そこに、『Arduino』ボードを装着できる専用コネクタがあらかじめ用意してある」(説明員)という。
ローランドDGブースでは、このヒミツの扉(SRM-20+Arduino UNO)を活用した展示デモを2つ紹介していた。
1つは、情報科学芸術大学院大学(以下、IAMAS)との共同研究の成果として披露された、前面カバーの開閉状況のプッシュ通知デモだ。SRM-20の前面カバーの開閉状況をiOSデバイスにプッシュ通知するというもの。Arduino UNOでSRM-20の動作状態を読み取り、前面カバーの開閉に対応して、Arduino UNOに搭載されたビーコンモジュール「MyBeacon Fun」(アプリックス製)をオン/オフする。開閉状況に応じてビーコンからiBeacon対応の情報が無線で発信され、プッシュ通知としてiOSデバイス側に情報が送られる。
もう1つは、ローランドDGが用意した展示デモ。現在の加工状況を外付けの液晶パネルに表示するとともに、回転灯で稼働状況や前面カバーの開閉状態を可視化するデモを実演していた。デモで用いられていたSRM-20の周りには鉄道模型が走っていたのだが、この車速のコントロールには実際にSRM-20で切削された基板が用いられていた。
ローランドDGとIAMASの小林茂教授とで「APIを提供する工作機械の強化およびそれを適切な理解の下で普及させるための方法のデザインならびにその実行」という共同研究に着手。「ノミやカンナという道具を職人が自分の使いやすいようにカスタムするのと同じように、デジタル工作機械も自分が使いやすいようカスタマイズできるべきだと考えている」(説明員)。この構想を実現するため、Arduinoを実装できる専用コネクタをあらかじめ用意したのだという。
ただし、メーカーとしては製品を安心安全に使用してもらう品質基準を満たす責任があるため、本体背面パネルを開けてのArduino UNOの利用はメーカー保証外になってしまう。興味のあるユーザーは“自己責任”で楽しんでもらいたい。
なお、ローランドDGはSRM-20を活用した新しいデジタル工作機械のアイデアを募るイベント「monoFabアイデアソンミーティング」を2015年2月7〜8日に開催する予定だという。
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