「楽天市場」で代金の支払いに銀行振込を利用する際の振込先が、11月13日から楽天銀行の口座に一本化された。楽天は「お金の流れを把握し、楽天市場の安全性を高めるため」と説明するが、音響機器などを販売するサウンドハウスは「これまでの日本の商習慣ではありえない」と楽天市場からの撤退を表明するなど、店舗から批判の声も上がっている。
楽天市場では従来、代金の決済に銀行振込を使う場合、店舗が振込先銀行を自由に設定できたが、11月13日からは、楽天銀行に一本化。出店店舗専用の支店「楽天市場支店」を設け、店舗ごとに口座番号を付与した。
楽天の広報担当者によると、狙いは「偽の店舗サイトを使った詐欺を防ぐため」。偽の店舗サイトを使った詐欺では、振込先に銀行口座が指定されることが多いという。楽天市場の銀行決済の振込先を「楽天銀行 楽天市場支店」に限定することで、購入者が正規の店舗の口座だと確認しやすくし、楽天側でもお金の流れを把握しやすくする。楽天銀行に振り込まれた売上金は、店舗が持つ他行の口座に振り込むこともできるという。
サウンドハウスはこの施策に反発。「楽天が決済口座を楽天銀行の口座に一本化すると決め、顧客に告知した。出店店舗の銀行口座を勝手に開設し、決済用口座としてはその口座しか認めないということは、これまでの日本の商習慣ではありえない」と批判する文書を、同社サイトと楽天市場の同社ページ内に掲載した。楽天には詳細な説明や口座の取り消しを求めたが納得のいく説明がなく、口座も取り消されないため、楽天との取引を中止することにしたという。
楽天は「出店店舗には9月8日からメールや文書で複数回告知し、担当のECコンサルタントから電話でフォローしている。店舗運営用の管理システムにもFAQを掲載している」と話し、事前に十分に告知したはずだと説明。サウンドハウスとの具体的なやりとりについては「調査中」としている。
また、サウンドハウスは「楽天が自社グループの利益のみを追い求め、出店している店舗に対して一方的にこのような暴挙を行」っていると批判しているが、楽天は「この施策によって楽天に収益があがるなどということはない」と説明している。
関連記事
- “元値”をシステムでチェック、通報窓口設置……楽天市場が進める「不当表示」対策
楽天は、不当な価格表示の撲滅に向け、「楽天市場」に価格チェックシステムを導入するなど対策を進めている。 - 「楽天市場」海賊版対策強化 楽天が調査購入、権利者が鑑定
楽天とCODAが海賊版対策で連携。楽天市場で海賊版の販売が疑われる場合、楽天が調査購入し、権利者が権利侵害の有無を鑑定する。
関連リンク
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.