「あぁ、この上司、なんだか尊敬できないかも……」——部下が自分のことをこんな風に思っているのでは、と不安にかられたことはないだろうか。
あるIT企業でサブリーダーを務める30代エンジニアは、上司のこんな振る舞いが尊敬できないとぼやく。
「こういう言い方もなんですが、うちの上司って勉強しているのかなぁと思ってしまうんですよね。カバンに漫画雑誌が入っているのは見かけるのですが、本を読んでいるのを見たことがなくて……。話していても、技術のことは追っかけているようだけど、それ以外のことにはとんと疎い感じがするんです」
このエンジニアは、自身がよく勉強をしているだけに、余計にそう思ったようだ。リーダーを目指している彼は、経営者の思想やリーダーシップについての理論が分かる本をたくさん読んでいて、一通りの知識をインプットした後に、自分なりの考え方や行動を整理することを習慣づけているという。
自分が勉強しているかという点まで見られていると思うと、上司の側としてはプレッシャーに感じるかもしれない。実際のところ、勉強しているかというよりも「勉強して成長する意志があるか」という点が大事であるように思う。ある会社の入社式で管理職が新入社員を前に、こんな訓示を述べた話を聞いた。
「もうボクは歳だから新しいことも勉強できないし、頭にも入ってこない。成長にも限界がある。けれどキミたちはまだまだ若いから、どんどん勉強していくように」
この“勉強できない”と話した管理職は、せいぜい50代前半くらい。新入社員は「50代って“もう歳”で“新しいことも勉強できない”って言っちゃうんだ」と、内心驚いたらしい。そして「勉強し、成長するステージからはもう降りた」と言わんばかりの姿にがっかりしたようだった。
確かに年齢が上がれば上がるほど記憶力は落ちるし、一度に頭に入れられる情報量も減ってくる。なかなか若いころのようにいかないのはよく分かるが、「昨日、学んだことが半年後には陳腐化することもある」くらい変化の速い今の時代、“定年まで過去の貯金で生き延びられる”と思っていたら、それはあまりに楽観的すぎる。
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