「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「じゃがりこ」——。国内スナック菓子市場で5割以上のシェアを誇るカルビーが、海外展開に積極的な動きを見せている。同社は現地での材料調達や生産体制を強化することで、米国やアジアでの売上高を大幅に拡大させようとしているのだ。
「米国、中国、その他の市場で売上高をそれぞれ500億円を達成して、2020年までに連結売上高に占める海外の比率を30%にする」(カルビー)という目標を掲げている。2014年3月期のカルビーの連結売上高は1999億円なので、海外での売上目標はかなり強気な計画とも言える。
カルビーは1970年に米国で、「かっぱえびせん」を発売。「なるほど。以前から海外にチカラを入れていたんだ」と思われるかもしれないが、そうではない。「海外事業の規模は小さく、あまりチカラを入れてこなかった」(カルビー)
国内市場に満足していたカルビーは、なぜ海外に目を向けるようになったのか。理由は2つある。1つは、他のメーカーと同じように、少子高齢化の影響で国内市場の縮小が懸念されるから。もう1つは、経営のトップが代わったから。2009年カルビーの経営は、創業者の松尾一族からジョンソン&ジョンソン日本法人で社長を務めていた松本晃氏が会長兼CEOに就任。オーナー経営から“外資流”に変わったことで、経営の方向性が「内向きから外向き」になったのである。
海外展開を強化している成果は、数字にも表れ始めている。2014年3月期の売上高(円ベース)をみると、北米は対前期比146.6%増の50億600万円、中国は同141.8%増の25億1800億円など、大幅に伸ばしているのだ。
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