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「普段と同じ」をさりげなく 東急多摩川線の「キヤノンダイヤ」が見事

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

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1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 お客さまが利用しやすい時間帯に列車を走らせる。これが鉄道の基本的なサービスだ。そのために鉄道会社は運行計画を見直し、定期的にダイヤ改正を実施する。しかし、一度決めたダイヤはなかなか変更できない。列車を走らせるためには、車両の手配、運転要員の確保、駅や線路の配置、使用する電力量など、さまざまな要素が絡み合うからだ。

 例えばJRグループは毎年3月にダイヤ改正を実施するけれど、既にその時点で翌年3月のダイヤ改正の準備が始まっている。いったん決めたダイヤは変更しにくいから、入念に準備を重ねて、1年ごとに切り替える。JRグループは長距離列車などで会社間をまたがる列車も多いから、調整に時間がかかる。

 さらに、JRグループは季節ごとの臨時列車をその都度発表している。10月24日にも冬の臨時列車を発表したばかり。実はそこで案内されている列車のほとんどは毎年3月のダイヤ改正で設定済みだ。いったん決めたダイヤの変更は難しいから、あらかじめ臨時列車を組み込んだ運行計画を作っておいて、あとは実際に運行するかどうかを決めるだけ。運行が決まった列車が季節に合わせて発表される。夏の時刻表と冬の時刻表を見比べると、夏は「ハイキング号」、冬は「スキー号」として、同じ時刻で臨時列車が運行されている。

 運行計画の担当者として、お客さまの便利さを第一に考えれば、乗客の需要に合わせて臨機応変の運行をしたい。せめて、前月に計画した列車を翌月に走らせるような対応をしたい。これが鉄道会社のホンネだろう。しかし実際には列車ダイヤの変更は難しい。運行本数の多い路線ほど融通が利かない。

 ところが、それを実際にやってみせた鉄道路線がある。東急電鉄の東急多摩川線と池上線だ。

東急多摩川線の列車ダイヤ(時刻表を元に筆者作成)。ピーク時は3分間隔、日中は6分間隔の過密ダイヤである東急多摩川線の列車ダイヤ(時刻表を元に筆者作成)。ピーク時は3分間隔、日中は6分間隔の過密ダイヤである
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