給与や会社での立場に多大な影響をあたえるのが人事評価。誰しも正しく評価してほしいと願うものだが、その評価の仕方や基準は満足のいくものだろうか。人事評価制度について「課題があるかどうか」をたずねたところ、会社経営者の51.0%、人事担当者の75.5%が「ある」と答えた。両者の間には24.5ポイントの差があることが、あしたのチームによる調査で分かった。
経営者と現場の埋まらない溝
まず、経営者と人事担当者の双方を対象にして「人事について課題と感じているもの」に関して調べたところ、「課題がある」、「少し課題がある」と回答した項目では「人材の教育や育成について」が最も高く66.3%、次いで「賃金設計・制度について」「人事評価制度について」「人材の採用のしづらさについて(中途)」がそれぞれ63.5%という結果になった。
また、各項目について会社経営者と人事担当者それぞれに課題と感じているかどうかについては、下の表のようになった。
経営者 | 人事担当者 | 差 | |
---|---|---|---|
人材の教育や育成について | 55.1% | 77.0% | 21.9ポイント |
賃金設計 制度について | 51.5% | 75.0% | 23.5ポイント |
人材の採用のしづらさについて(中途) | 55.1% | 71.6% | 16.5ポイント |
人事評価制度について | 51.0% | 75.5% | 24.5ポイント |
両者の間で24.5ポイントという最も大きな差があったのが「人事評価制度について」。課題であると感じていることについて意識の違いが明らかになった。
そのほか、従業員が人事評価制度について満足していると思うかを聞いたところ、「満足していると思う」「やや満足していると思う」と答えた会社経営者が68.4%だったのに対し、人事担当者は40.7%。また、人事評価について従業員から不満の声があるかどうかの質問に、「ある」と答えたのが会社経営者では26.5%、人事担当者では61.3%で、その差34.8ポイントとかなり大きな開きがあった。
このように、従業員の不満が経営者まで届いておらず、意識のズレから互いの溝が深まっている実態が明らかに。そのためか人事評価や制度の見直しが必要だと感じている経営者は51.0%、人事担当者70.1%、その差が19.1ポイントという結果になった。
給与に反映されない評価
また、人事評価について「悩んでいる」と答えた会社経営者が58.2%だったのに対し、人事担当者は71.1%。悩みについての具体的な内容で最も多かったのは「評価と報酬との関連性が持てていない」(全体で49.8%)で、次いで「評価者による甘辛の評価が出てしまう」(同37.5%)「目標の合意形成が取れていないため、従業員が評価に対して納得しづらい」(35.9%)というものに。
調査は2014年10月7日から9日、従業員300人未満の会社で、20歳から69歳までの人事採用・人事評価に携わっている会社経営者・役員または人事担当者の男女400人を対象にWebアンケート方式で行ったもの。
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