NTTドコモが7月19日、顧客対応力強化に向けた取り組みについての説明会を開催。同社販売部長の鳥塚滋人氏が、事業運営方針やユーザー接点に求められる改革を説明した。
スマートフォンが急速に普及していく一方で、店頭での接客時間が長くなり、来店者を長時間待たせてしまうといった問題が起きている。鳥塚氏は「待ち時間の対策について、個別に問い合わせが来ることが増えている」と話す。ドコモはこうした店頭での問題解決に努めるとともに、オンラインを活用した施策も強化する構えだ。
店舗数は増やさずカウンターを増やしている
ドコモの契約数は約6100万だが、ユーザーとの接点はドコモショップ、量販店、インフォメーションセンター、コールセンター、サービスポータルサイト(dメニューやdマーケット)など多岐に渡る。ドコモショップは2013年5月末時点で2399店舗が稼働しており、スタッフ数は約3万8000人に上る。コールセンターでは約1800人のオペレーターが毎月約130万件の問い合わせに対応しているという。
これらユーザー接点の環境を大きく変えつつあるのが「スマートフォン」だ。鳥塚氏は「スマートフォンがこれだけ普及していく中で、お客様に対応する側にとっては、広くて深い知識やスキルが求められる。これに伴い、接客が長くなり、ショップや電話が混むことがある」と問題点を挙げる。また、スマートフォンが普及したことで、扱うサービスも多様化しており、インターネットを活用して購買・情報収集するスタイルも浸透しつつある。こうした変化に対応すべく、ドコモは3つの対策に取り組んでいく。
1つ目が「お客様対応のさらなる質の向上と効率化」。ここでは、店舗、スタッフ、オペレーションの3つが重要になる。
2011年から2013年にかけて、ショップ数はそれほど増加していないが、「店舗を増やすというよりは、店舗をリニューアル、拡大して質を上げている。結果として、ドコモショップ内のウンターは、この2年間で1500(10%)ほど増えている」(鳥塚氏)という。店舗の移転や改装は積極的に進めており、「1年で4分の1の店舗には、何らかの手が入っている」ほどだ。店舗が大型化したり来客が増えていることもあり、ショップスタッフはこの2年で約5500人を増員している。
スマートフォンは実機に触れてもらうことを重視し、体験コーナーの拡充にも努めている。最新スマートフォンの実機を展示する「スマートフォンラウンジ」も、その一環といえる。また、子ども向けのキッズコーナーを設けた店舗もあり、立地や客層に合わせた店作りを目指す。
スタッフのモチベーション向上も重視
鳥塚氏が「人は一番重要だと認識している」と話すように、リアル店舗ではスタッフが重要な役割を担うのは言うまでもない。人材育成のために各種研修や資格認定制度を設け、資格は「プレマイスター」から「フロントスペシャリスト」まで4段階を用意。この制度は2001年度から運用している。また2006年度からは、スタッフのモチベーション向上のため、接客スキルを競うコンテストも実施している。
「CS(顧客満足度)を高めるためにはES(従業員満足度)も重要」と鳥塚氏は続ける。「ドコモが直接スタッフにで提供できる部分と、スタッフを雇用している代理店が取り組んでいただく部分がある」(同氏)。前者のドコモが提供しているものが、「スタッフハッピーポイントプログラム」。コンテストなどで優秀な成績を収めるとポイントを付与し、各種商品やサービスを割引価格で購入したり、福利厚生に使ったりできる。後者の代理店独自の取り組みでは、スタッフ向けのパウダールームやリラクゼーション設備を設置したり、ショップの敷地内に託児所を併設したりする店舗もある。
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