自分のご都合を最優先?
8月14日に一部の新聞やネットで某テレビ局が動画投稿サイトを開設したが1日で閉鎖したというニュースがあった。そこには「投稿作品は自由に編集・改変して番組で放映するが、問題が発生した場合の賠償責任は投稿者が負う」という内容を利用規約に載せたらしい。しかも投稿者への謝礼はなく、著作権としての権利も行使できないと定め、テレビ局が自由に編集・改変できるという。さらに万一苦情のあった場合に投稿者は、テレビ局からの要求に従い、「投稿者の責任と費用」において解決しなさいと規定されていたというから驚きである。
これでは投稿者が確実に不利である。気の利いた人間なら絶対に投稿しないだろう。どう考えても、あまりにも条件が偏っている。テレビ局はいいとこだけを搾取し、著作権の権利行使をされる心配もなく、勝手に改変できる。問題が起きれば、「うちは全く関係ありません。損害賠償や名誉棄損で訴訟されるなら勝手に投稿者と争ってください。うちはその場を提供した善意の第三者ですから」と言わんばかりだ。謝礼なども一切払わない。こんなにおいしい商売はないだろう。
「紺屋の白袴」「医者の不養生」——昔から言われてきた諺であるが、私はこの問題について15年以上から問題提起をしてきている。マスコミはある程度以上、世間一般の人よりもこの手の行動に関しては知識を持っており、常に第三者の権利を擁護しつつ、適切に対応している——と昔は思っていた。今でもこの様な行動規範を順守して鋭い記事を書いたり、世間を納得させる力をお持ちの方もいるが、ほとんどの大手マスコミにはこういう人がいない。
その昔、ある新聞社の取材に対応した。そして記事にするというので、「内容の確認をしたい」と申し出たが「こちらを信用してください。取材した私、そして上司、最後は部長が確実にチェックしますから」という返答があった。その言葉を信じたが、結果としてその記事での論評はおおよそ筆者が取材で発言した内容とは正反対の内容にとらえられるものになっていた。筆者を知る関係者から苦情メールや電話が殺到し、押しかけてくる人もいた。とても辛い数カ月を過ごす羽目になった。
この後始末のために非常に辛い思いと時間、経費が発生し、信用にも傷がつく結果となった。取材した記者に苦情を言っても、電話やメールでは「すみません」と答えるが、誠意は全くない。それでもしつこく苦情を伝えると、「訂正記事くらい出しましょうか? でも、誰も見ませんよ」という。そのうち筆者からの電話やメールに一切対応しなくなった。筆者も諦めてしまった。
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