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3つのOSを1つにする「次期Windows」で何が変わるのか?――消えたSurface Miniの行方

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「3つのWindows」とは何か、その統合が意味するもの

tm_1408win81up2_01.jpg米Microsoftのサティア・ナデラCEO。Surface Pro 3発表会の中継より

 米Microsoftの2014年度第4四半期(2013年4〜6月期)決算報告におけるサティア・ナデラCEOのコメントが話題になっている。

 7月22日(米国時間)、決算報告を行う電話会議の中で同氏は「現在3種類のWindows OSが存在するが、次期バージョンのWindowsではこれを1つにする。単一のOSがすべてのスクリーンサイズをカバーし、アプリストアや各種取引、開発者プラットフォームを統合していく計画だ。数カ月内にもWindows拡張の大きな潮流について、より多くの情報を提供できると考えている」と述べ、将来のWindows計画について概要を説明した。

 今回はこの発言の意味するところを分析し、半年〜1年程度のスパンでのWindowsの将来について考えてみる。

 なお、同氏による決算報告での全発言や質疑応答でのやり取りは同社IR(Investor Relations)ページにWebキャストでの音声ストリーミングのほか、全文を書き起こしたWord形式のトランスクリプトが用意されている。興味のある方は参照していただきたい。

 まずは同氏の言う「3つのWindows」が何を指しているのかが最初の疑問となる。筆者はこのフレーズを聞いたときに、「Windows」「Windows RT」「Windows Phone」の3つが思い浮かんだ。おそらくはこれで正解だろうが、「Windows」「Windows Phone」「Xbox One」を挙げているメディアもあり、人によって微妙に解釈が異なるようだ(Xbox Oneの代わりに「Windows Embedded」を挙げる人もいる)。

 ただ現状のWindowsを振り返ってみると、すでに目標の一部は達成しつつある。過去の連載の中でも触れたが、これまでWindows、Windows Phone、Xbox Oneでばらばらだったアプリストアを統合し、デベロッパーが1つの開発環境で複数のプラットフォームを同時にターゲットできる環境が整いつつある。

 詳細は連載の「ユニバーサルアプリ」に関する記事でも解説しているが、Windows 8以降に導入された「WinRT」というランタイム環境をベースにし、この上で動作するアプリをWindows 8/8.1だけでなく、Windows Phone 8.1やXbox Oneでも動作可能にさせるというものだ。

tm_1405win81up1_02.jpgあらゆるフォームファクタを1つのアプリでカバーする「ユニバーサルアプリ」は、Windowsにおける今後の重要な戦略だ

 Windows Phone 8.1は搭載製品がまだリリースされたばかりであり、旧Windows Phone 8が動作するデバイスへのOTA(Over The Air)アップデートが7月末〜8月にかけて順次開始されるというウワサだ。つまりユニバーサルアプリが真価を発揮するのは少なくとも9月以降になるとみられる。

 そしてアプリストアと開発環境が統一されることで、同氏の言う「すべてのスクリーンサイズをカバーする」ことが可能になる。現在、スマートフォンのような小型スクリーンデバイスはWindows Phone、PC向けの中型〜大型サイズはWindows、30〜40型以上の大画面環境はXbox Oneといった具合でカバーしており、これをWinRTで動作するユニバーサルアプリ1つですべてカバーできる。

 タッチパネルが中心のスマートフォン、キーボードとマウスの利用が多いPC、リモコンやゲームコントローラーが中心のXbox Oneと、ユーザーインタフェースがすべてバラバラで、スクリーンサイズやユースケースもまったく異なるデバイスを対象にしなければならないことから、アプリ開発者の負担は非常に大きなものとなるだろう。

 だが一方で、なかなか盛り上がらないWindowsとWindows Phoneのアプリストアにとっては、新しいチャンスを模索する開発者の誘導材料になる可能性もあり、その意味で期待できる。

居場所がなくなりつつある「Windows RT」

 Microsoftは明言していないものの、いわゆる「Windows RT」というカテゴリは消滅へと向かうのではないかと筆者は予測している

 もともとWindows RTは、x86プロセッサ搭載PCで動作するフル機能のWindowsではカバーしきれないモバイルOS(iOSやAndroid)の領域を埋める存在として登場した「ARM版Windows」だが、その居場所はなくなりつつある。

 「Surface」(Proではない)をはじめとするWindows RT搭載製品が登場してからは、「通常のWindowsアプリが使えない制限」や「パフォーマンスの低さ」といったデメリットが指摘されることも多く、一方でAtomプロセッサの大幅強化によってx86プロセッサのカバー領域が広がり、フル機能のWindowsがモバイルOSにある程度対抗できるようになってきたからだ。

 2012年のWindows RTデビュー時には、主要PCメーカーが情報戦を繰り広げてローンチベンダーになるべく我先にMicrosoftへと集まってきたが、現在メインストリームに残っているのはMicrosoft純正の「Surface 2」くらいで、多くのメーカーが一歩引いた位置から動向を見届けている。

tm_1408win81up2_02.jpgMicrosoft純正の10.1型Windows RTタブレット「Surface 2」。「Surface Pro 3」の登場により、存在感はさらに薄くなってきたように思える

 ただ、これも正確な表現ではない。「Windows RTは消滅するものの、ARM版Windowsはこれからも登場する」というのがより正しい言い方だろう。Microsoftは「3つのWindowsを1つに」と説明しているが、その意味するところは「これまではバラバラに開発されていたOSのコアを統一して、用途に応じて使い分けていこう」ということだと予想される。

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