アップルは7月8日、教育・学習向けのコンテンツ配信アプリ「iTunes U」のバージョン2.0をリリースしました。アップデートの目玉は、iPad上でコースのすべてを作成・編集・管理できるようになったこと。これまでは「iTunes U Course Manager」というWebベースのツールを使う必要があったので、より手軽にコース管理ができるようになったわけです。
そもそも「iTunes U」とはどんなサービスでしょうか? 「U」はUniversity=大学の頭文字を取ったもの。講義のコースはほぼすべて無料で、近年のオンライン無料スクールの先駆けと言える存在です。サービスを開始した2007年当時は、iTunesのいちカテゴリとしてPodcast形式で配信されていました。
2010年ごろには、東京大学など日本の大学がコースの配信を開始し、2012年にアプリが独立しました。現在、有名大学、著名博物館、公共メディア機関などが所有する10万以上の教育オーディオ・ビデオファイルが配信されています。すごいですね。
また、iTunes Uには、以下の2つの講義コースがあります。
- 公開コース:カタログに掲載され、誰もが自由に検索・閲覧できるコース。スタンフォード大学や東京大学、MoMA、ニューヨーク公共図書館など、30カ国の認定教育機関が参加している。
- 非公開コース:認定教育機関以外の組織や人々が作成するコース。検索結果には表示されず、管理者がコースコードかショートカットリンクを受講者に提供することで、受講者はコース登録ができる。アップロード容量やコース数、登録者数に制限あり。
非公開コースであれば、iPadの画面指示に従うだけで簡単にコースを作成できました。iPadの内蔵カメラで撮影した写真やビデオ、「Pages」「Numbers」「Keynote」などで作った教材も追加可能。課題の配布や教材のアップロードなど、多くの機能に対応しています。
さらに、iTunes U 2.0からは「討議」機能が進化し、受講者は自分のiPadから直接、授業のディスカッションを始めたり、質問できるようになっています。ただ、非公開コースの場合、受講者は全員アップルのデバイスを所持している必要があります(公開コースはiTunes U for Windowsでも受講可)。
iTunes Uを活用すれば、場所や時間にこだわらず、フレキシブルな学習ができそうです。例えばダンス教室の先生が、振り付けの課題を動画つきで出しておきます。生徒は振りを覚えたら「完了」ボタンを押し、分からないところは「投稿」機能で質問。先生は生徒の進捗状況が分かるし、生徒は疑問をすぐに解決できます。未来の学習体験がちょっと見えてきませんか?
いまいち日本では普及してない「iTunes U」ですが、教育現場で少しずつタブレット端末の利用が広がり始めているだけに、今後注目すべきアプリの1つと言えそうです。
ちなみに私のお気に入りは、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の日本語版オーディオコレクション。美術館のオーディオガイドまで網羅するiTunes U、恐るべし。
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