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「POBox Plus」でプラスされたものと失ったもの

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 「Xperia Z2 SO-03F」の日本語入力システムは、従来の「POBox Touch」から「POBox Plus」に変更された。名前が新しくなっただけあり、UI(ユーザーインタフェース)や設定方法も大きく変わっている。「Xperia Z1」に搭載されていた「POBox Touch 6.2」と比べて何が変わったのかを見ていこう。

キーの割り当てが変更された

 POBox Plusではキーの割り当てが少し変更されている。まず、POBox Touchでは左上にあった音声入力/プラグインアプリ呼び出しのキーが「ツール」キーに変更されている。音声入力やプラグインアプリの呼び出しは、ツール内の設定項目から行える。

 POBox Touchでは記号キーと数字キーが1つに統合されており、短押しで数字キー、長押しで記号や顔文字を呼び出せた。一方、POBox Plusでは記号キーが独立し、短押しで記号/顔文字/絵文字一覧を呼び出せるようになった。地味だがうれしい改善点だ。

photophotophoto左がPOBox Plus、中央がPOBox Touch 6.2のテンキー。よく見比べると、POBox Plusのテンキーのフォントの方が太くて大きい。ワンタップ(短押し)で記号、顔文字、絵文字を呼び出せる(写真=右)

設定項目が見やすくなった

 ツールキーを押すと、日本語入力設定でよく使うショートカットが表れる(もう一度ツールキーを押すとショートカットは非表示になる)。左端の「・・・」を押すと、設定・ヘルプ、入力方法、プラグインの3つのメニューが表れる。「キーボード一覧設定」「PCキーに切り替え」など、いずれも日本語で機能名が表示されているので分かりやすい。この中でよく使う機能が、上述したショートカットに縦画面で6個、横画面で10個まで表示される。ただし任意の設定を手動でツールに入れることはできない。

photophoto「ツール」は「設定・ヘルプ」「入力方法」「プラグイン」の3つで構成されている
photophotophotoPOBox Plusの設定もシンプルな内容になっている

キーサイズの変更は「左寄せ」か「右寄せ」のみ

 POBox Touchではキーボードのサイズを指で自由に変更でき、設置場所もある程度調整できたが、POBox Plusでは左寄せか右寄せしか選べない。「片手キーボード」を選び、左右に空いた「<」か「>」を押せばキーボードの位置が左右に切り替わる。指の大きさは人それぞれなので、個人的にはPOBox Touchの微調整できるスタイルの方が好きだが、シンプルな設定を優先したということなのだろう。

photophotophotoツールの「片手キーボード」アイコンをタップすると、キーを左右に寄せられる。左右に切り替えは「<」か「>」を押せばよい。キーサイズや設置場所を微調整する機能はない

変換方法を3つのタブから選べる

 例えば「あか」と打って「12」を変換するときは左下の「英数カナ」、漢字を1文字ずつ直接変換するときは変換候補右上の「直変」を押すなど、POBox Touchでは各種変換キーがバラバラに配置されていた。POBox Plusではこれも改善され、変換候補の上に「予測」「変換」「英数カナ」という3つのタブが表示され、目的に合わせてタブを押すだけで変換方法を変えられる。このタブは、変換キー(文字を打っていないときは英数カナキー)を押しても切り替わる。

photophotophoto予測→変換→英数カナを切り替えて変換できる

入力した文字の「やり直し」が可能に

 文字を入力すると、変換候補の最初に矢印マークが表示され、これを押すと確定までの状態に戻れる。誤変換や誤入力してしまったときに便利な機能だ。

photophoto入力や変換を確定すると、変換候補の先頭に矢印が出る。これを押すと、変換前の状態に戻る

 また、誤入力しても正しい候補を変換できる「日本語入力ミス補正」機能も新たに用意されている。例えば「お世話になっております」と入力する際に「おさわに」と入力しても、「お世話に」が変換候補に表れる。

photophotoちょっとした誤入力なら、このように変換候補を補正してくれる

文字入力して絵文字を変換できるように

 「おはよう」「おやすみ」などのあいさつや、「わーい」「眠い」など感情や体調を表す言葉などを入力すると、絵文字が直接変換候補に表れるようになった。絵文字一覧を呼び出す必要もないので、たまたま変換された絵文字をノリで入力することもありそうだ。顔文字も、従来どおり文字を入力して直接変換できる。

photophoto変換候補に絵文字も表示される

アシストキーボードは利用不可に

 以前からPOBox Touchを使っていて「これはすごい」と思ったのが、「アシストキーボード」だった。この設定を有効にすると、QWERTYキーの日本語入力時に、次に入力される文字だけを大きく表示したり、使わないキーを非表示にしたりできる。QWERTYキー利用者には重宝していた機能だと思うが、POBox Plusでは廃止になってしまった。

photophoto次に確実に押すキーを大きく表示し、押さないキーを非表示にする「アシストキーボード」は、POBox Touchならではの機能だった

 ソニーモバイルに確認したところ「POBox Plusでは、入力を間違っても正しい変換候補を提示する『日本語入力ミス補正』という“アシスト”機能が新たに搭載されているので、従来のPOBox Touch同様に快適に入力いただけると考えている」とのこと。しかし入力スピードを上げるアシストも必要だと思うので、個人的には残念な仕様変更だった。

 また、QWERTYキーの数字モードにて、数字キーの下に表示される記号をカスタマイズできる「キーボードカスタマイズ」も、POBox Plusでは廃止されている。

オンライン辞書は使えなくなった

 ユーザー参加型の「Social IME」を用いたオンライン辞書も、POBox Plusでは廃止されている。固有名詞や面白い顔文字を変換するのに役立つ機能だが、あまり使われていなかったから、あるいは気付いてもらいにくい機能だったからなのだろうか……。

photophotophotoPOBox Touchのオンライン辞書。例えば「がく」と打って「候補」キーを長押しすると、「ガクガクブルブル」を表現した顔文字が候補に出てくる(写真=左、中)。「ジョジョ」と打つと「ジョジョの奇妙な冒険」の名ゼリフを変換できる(写真=右)

スムーズに入力できる?

 Xperia Z2を1カ月以上使っているが、アシストキーボードが廃止されたことを除けば、入力でストレスを感じることはほとんどない。テンキーのフリック入力も素早く指を動かしても誤入力されることはほとんどなく、しっかりと指の動きに付いてきてくれる。QWERTYキーの英語は数字とアルファベットが1画面に表示されるので、数字+英語のパスワードや製品名(Xperia Z2など)を打つときにありがたい。

 POBox Touchでブラッシュアップさせてきた細やかな設定がなくなったのは少々残念だが、POBox Plusは、特にスマートフォンを初めて使う人には分かりやすい日本語入力システムではないだろうか。

photoタッチパネルの感度もよく、サクサクと入力できる

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