今回のヘッドフォン特集もついに最終回。各社のハイエンドモデルが並ぶ、5万円以上&価格上限なしの頂上決戦だ。
その前に恒例「野村ケンジのアドバイスコーナー」。最終回にふさわしく、テーマは「ヘッドフォンの選び方」とした。
——お久しぶりです。
野村氏: 忘れたころにきますね、この特集。
——はい、すっかりわ……仕事が立て込んでおりまして。さっそくですが、お気に入りの1本を見つける秘策を伝授してください。
野村氏: そうですね。良いヘッドフォンの基本は、やはり正しい音が詳細な部分まで再現されることです。しかし、それだけだと一番高価で素性の良いヘッドフォンのみが“正義”で、他は違うことになってしまいます。そんなことはないですよね?
例えば音楽ジャンルによって、こちらの方がよく聞こえるとか、女性ボーカルが“つやっぽく”聞こえるとか、製品によってさまざまな良い面があります。もちろん基礎体力は重要ですが、その先は自分の好きな音楽を楽しく、気持ちよく聴かせてくれることが大切でしょう。
ですから、興味を持ったヘッドフォンは片っ端から聴いて、自分が好きな音を見つけてほしいです。これまで「好みじゃない」と思っていた製品でも、別の機会に、別の曲を聴くと印象が異なることもあります。自分にとってステキな音を奏でる製品を探すこと。それがヘッドフォン選びの醍醐味(だいごみ)です。
——お店が近くにない人はどうしましょう。
野村氏: この特集を参考にしてください。それから、極論といわれるかもしれませんが、「悩んだら全部買ってみる」というのも手です。自動車やハイエンドのオーディオ機器などに比べたら、ヘッドフォンやイヤフォンは安いもの。それが“趣味”としての基本でしょう。
——ちなみに、今回取り上げる8製品のAmazon販売価格を合計すると73万6901円になります。
野村氏: ………。要するに、好きなヘッドフォンを探し出す過程を楽しんでほしいのです。もちろん買ったからといって、それで終わりではありません。ヘッドフォンの購入は、いわば結婚のようなもので、まだまだ先は長い。エージングはもちろん、組み合わせるヘッドフォンアンプやプレーヤー、ケーブル類、そして再生する楽曲など。自分が選んだ製品をより良い音にするため、積極的にいきたいですね。
そんな、趣味に生きる野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3名だ。価格の上限を定めていないため、取り上げる製品も8機種と多めになっている。
レビュアー紹介
ブランド | 製品名 | 再生周波数帯域 | インピーダンス | 感度 | 販売価格 |
---|---|---|---|---|---|
フォーカル | Spirit Professional | 5〜2万2000Hz | 32オーム | 102dB | 4万6440円 |
シュア | SRH1540 | 5〜2万5000Hz | 46オーム | 99dB | 5万1190円 |
オーディオテクニカ | ATH-AD2000X | 5〜4万5000Hz | 40オーム | 103dB | 4万9450円 |
ベイヤーダイナミック | T5P | 5〜5万Hz | 32オーム | 102dB | 8万5093円 |
デノン | AH-D7100EM | 5〜4万5000Hz | 25オーム | 110dB | 6万7509円 |
フォステクス | TH900 | 5〜4万5000Hz | 25オーム | 100dB | 12万3649円 |
ゼンハイザー | HD800 | 6〜5万1000Hz | 300オーム | 102dB | 16万4570円 |
AKG | K812 | 5〜5万4000Hz | 36オーム | 96dB | 14万9000円 |
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.