スマートフォンなどのモバイル機器を使い、自宅で受信したテレビ番組や録画済み番組を視聴する——いわゆるリモート視聴に関して、最近2つの動きがあった。1つはNexTV-Fが公開した「デジタル放送受信機におけるリモート視聴要件 Ver.1.0」を満たしたBlu-ray Discレコーダーやテレビがソニーやパナソニックなどの大手メーカーから発表されたこと。もう1つはフロンティアファクトリーが販売する米SlingMediaの「SLINGBOX 350」にHDMIコンバーター付属モデルが登場したことだ。
自宅で受信したテレビを外出先から楽しむためには、これまでは「SLINGBOX 350」が最も有力な選択肢だったが、そこへ新たに放送局も参加するNexTV-Fを通じて“正当な手段”が提供されたことになる(嫌味ではない。たぶん)。そのNexTV-Fのリモート視聴要件をいちはやくサポートしたのがソニーのBDレコーダーだった。2013年秋以降発売のBDレコーダーに対してファームウェアアップデートで実装され、クライアントとなるスマートフォン/タブレットにはAndroid/iOS端末向けアプリ「TV SideView」への有料プラグイン(500円)による機能追加というかたちで提供されている。
「TV SideView」を起動すると、現在放送中の番組一覧が表示されるので、その中の見たい番組にタッチすれば、番組詳細情報の画面を呼び出せる。そして、画面の最下部に配置された「モバイル機器」というアイコンに触れれば、放送のリアルタイム視聴が開始できるというわけだ。この基本的な操作の流れは宅内(LAN経由)でも宅外(インターネット経由)でも同様だが、チャプタースキップは宅内でしか使えないように制限がかけられている。
画質に関しては、宅外の場合には回線速度に応じて720p/360p/180pに切り替えられる仕組みになっているが、当然ながら帯域に余裕がなければボヤけてしまう。もちろん、宅内の高速接続などでは、デジタルデータを直接エンコードしているだけあって、nasne+DTCP-IPクライアントで視聴している場合などと同様に、「SLINGBOX」よりも特に輪郭のくっきりした映像を提供してくれる。
また外出先から自宅のBDレコーダーに対して録画予約が行えたり、番組メタデータを使って類似ジャンルの番組を“関連コンテンツ”として紹介したり、出演者情報から他の出演番組をリストアップするといったトータルガイド的な機能も追加されている。検索時には「YouTube」などのネット動画も一緒に検索できるなど、いわゆるスマートテレビを手元に置いておくような使い方ができる。
重要なのは、やはり操作レスポンスだろう。もし、頻繁にチャンネル切替をしながら見るという方は、結構なストレスを感じると思われる。なぜなら、チャンネルを切り替えるためには、「戻る」で番組詳細情報の画面へ戻り、さらに「戻る」で現在放送中一覧へ移動した上で違うチャンネルを選ぶところからやり直す必要があるからだ。宅内の場合でも、番組詳細情報へ戻るのに2秒、現在放送中の一覧まで戻るのに1〜2秒程度、そして、番組詳細画面の「モバイル機器」をタッチしてから再生開始までに8秒ほどの時間がかかる。つまり、チャンネル切替に10〜15秒以上はかかってしまうわけだ。もちろん、モバイル回線などを利用して宅外から視聴する場合には、待ち時間はさらに多くなる。
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