ScanSnap SV600レビュー:非破壊型「切らずにスキャン」ScanSnap SV600は本当に「自炊」に使えるか?【前編】 (1/3)
PFUから書籍や雑誌を裁断しなくても読み取れる、新しいタイプのスキャナScanSnap SV600が7月12日に発売する。発売前からお借りして使ってみた。
電子書籍が注目されているが、なかなか自分の欲しい本がないのが現状だ。過去購入した本を電子化してタブレットやスマートフォンに入れて持ち運べれば、何十冊でも重さの負担は変わらない。電子書籍で手に入らないとしたら、自分で書籍をスキャンして電子化してしまえというのが、いわゆる「自炊」である。すなわち、書籍電子化の「DIY」だ。
2013年6月にPFUがScanSnapシリーズの新製品として、新しいタイプのスキャナScanSnap SV600(以下SV600)を発表し、話題を呼んでいる。1番の特徴は、本を裁断せずに「自炊」ができるということ。発売前にSV600を借りて使ってみたので、報告しよう。
本を裁断せずに「自炊」ができる新タイプのスキャナ
本をスキャナで読み込もうとするときに、会社のオフィスの複写機のようなフラットベットタイプのスキャナでは、本を開いて下向きに丁寧に置き、見開きの2ページ分を読み込み、次のページを開き、さらに読み込む、といった作業の繰り返し。かなりの労力が必要だ。
本を壊しても良いならば、裁断機を使ってバラバラにした本をシートスキャナにかける方法がある。しかし、やはりこの方法の最大の欠点は本をバラバラに裁断する必要があることだ。
中には高価な本や貴重で裁断できない本、シートスキャナにかけにくい薄い紙や厚い紙の本もある。それ以前に、せっかく購入した本をバラバラにすることそのものに抵抗感があるひとも多いだろう。筆者もその1人だ。
SV600は、こうした裁断したくない本の電子化を得意とする、非接触読み込みタイプのスキャナだ。
SV600のハードウェア
SV600は、これまでのScanSnapシリーズとは全く異なる形状をしている。電気スタンドのように上部から光を照らし、同時にCCDラインセンサーで原稿を読み取るタイプのかなり個性的なスキャナだ。紙の文書や名刺をはじめ、必要なページを開いた本や付せんを付けたノートのような、やや立体的なものも読み取れる。
本やノートを開いた状態での読み取りでは、ページの一部分が湾曲し、読み込んだ画像がゆがんでしまう。このゆがみを、付属の画像処理ソフトウェアで補正する。
SV600はACアダプターとUSBケーブルを同梱しており、USBケーブルでPCと接続する。また、そのほかには原稿を乗せる「背景マット」も付属している。背景マットは、スキャナが読み込める範囲をユーザーに分かりやすくするためと、黒い色で白い原稿の輪郭をはっきりスキャナが認識できるようにするためのものだ。
A3サイズまでの原稿を読み込みが可能。また、名刺やレシートなどを背景マットの上に複数並べ、10枚まで一度にスキャンできる。ただし、この場合はそれぞれのカードが5ミリ以上離れている必要がある。
SV600はA3サイズまでの原稿を読み込むために、背景マットの設置にはA3よりもやや大きいスペースを必要とする。ただしSV600の本体は、A3まで読めるフラットベッドタイプのスキャナと比較して小さな設置面積で、保管には場所を取らないメリットがある。背景マットは丸めて保管してもかまわない。
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