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Z1とここまで違う――「Xperia Z2」の高剛性と軽量化を両立させた“新技術”

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photo「Xperia Z2 SO-03F」

 5月21日の発売から、販売ランキングは4週連続でトップを獲得するなど、好調な売れ行きを続けている、NTTドコモのスマートフォン「Xperia Z2 SO-03F」。ソニーモバイルコミュニケーションズが海外で展開しているフラッグシップモデル「Xperia Z2」のドコモ版で、デザインや機能はグローバルモデルとほぼ同じだ。

 5.2型のフルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイや有効約2070万画素CMOSカメラ、3200mAhの大容量バッテリー、3Gバイトのシステムメモリ(RAM)といった高い性能を誇るのに加え、ディスプレイ、カメラ、オーディオでXperia Z1から進化を遂げている。ディスプレイには赤や緑をより鮮やかに表示できる「Live Color LED」を採用、カメラは4Kサイズの動画撮影が可能になり、オーディオ面ではステレオスピーカーとデジタルノイズキャンセリングに対応した。

 このように見どころの多いXperia Z2だが、カタログでは紹介されていない部分を中心に、開発の舞台裏をソニーモバイルに聞いた。今回はデザインと機構設計の話をお届けする。

photo左からデザイン担当の石田氏、マーケティング担当の横山氏、メカ設計担当の久保氏

金属と樹脂を一体成型した「インサートモールディング」

 Xperia Z2のデザインはZ1のオムニバランスを継承しており、見た目の変化は乏しいかもしれないが、Z2とは異なるアプローチで設計している。その中核を成すのが、メタルフレームと樹脂を一体成型した「インサートモールディング」だ。Z1より大きなディスプレイ(5.0→5.2型)やバッテリー(3000→3200mAh)を搭載しながら、幅を1ミリ小さく(74→73ミリ)、重さを8グラム軽くできた(171→163グラム)のは、このインサートモールディングのおかげと言っても過言ではない。

photoデザイン担当の石田氏

 デザイン担当の石田氏は「インサートモールディングによって、シームレスな美しさや、ギャップのない触感を両立させて、より完成度の高い構造にできました。高剛性や軽量化にも貢献しています」と話す。

 Xperia Z1でも、メタルフレームとディスプレイ/背面パネルの間には樹脂があるが、フレームと樹脂を別々に成型して固定していた。しかしZ2では金属と樹脂が一体となっており、Z1にあったフレームと樹脂のわずかな溝がなくなり、シームレスな構造になった。メカ設計担当の久保氏は「樹脂は金型に流し込んで成型していますが、Z2ではメタルフレームを入れた金型の中に樹脂を流し込むことで、完全に1つの部品にしています。その後に金属を削り出して仕上げることで、このようにきれいな形状が出来上がりました」と説明する。実際にZ2のフレームに触れると、Z1とは違った滑らかな質感を得られる。

photophotoインサートモールディングにより、樹脂と金属のシームレスにつながっている。1つのパーツの中に異なる素材が共存しているという、不思議な感覚を得られる(写真=左)。Xperia Z1は樹脂と金属の間にわずかな溝がある(写真=右)
photoメカ設計担当の久保氏

 ディスプレイが大きくなりながら幅を細くできたのは、樹脂の方が小さいサイズで剛性を確保できるため。「Z1からメタルフレームそのものをアンテナとして使っています。本当は金属は薄くした方がアンテナ特性が出やすいのですが、あまり薄くすると剛性が取れなくなります。そこで、金属と樹脂を一体部品にしたら、うまく行くのではないかと考えました」と久保氏は振り返る。苦労の末にインサートモールディングが完成し、アンテナ特性と剛性を保ちながら、細く、軽くすることに成功した。

 インサートモールディングと防水性能の両立も、苦労した部分だ。この2つを同時に取り入れたスマートフォンは「恐らく世界初」と久保氏が言うほどだ。一体成型とはいえ、樹脂と金属の間の浸水を完全になくすのは至難の業だったようだ。「樹脂と金属の密着度を上げられる材料と、成型するときの樹脂の温度やスピードなどの条件がありますが、多くの試行錯誤を重ねて最適な条件が見つかりました」と久保氏は苦労を話す。

 握ったときの触感は金属っぽいものから樹脂っぽいものに変わった印象だが、インサートモールディングには目に見える明らかなデメリットはない。「デメリットは我々が苦労したことくらいです(笑)」と久保氏は笑う。

 加えて、Xperia Z2では4隅の球形状も、Z1からさらに大きくなっており、より手にフィットするようになった。側面の端もZ1と同様にカットされているので、握ったときの違和感はほとんどない。

無色のアルマイト処理で、金属の輝きを表現

photo側面の中央部分は、アルミの輝きを表現するため、3色ともシルバーとなっている

 インサートモールディングの後に行われる、(表面のさびや腐食を防ぐ)アルマイト処理にもこだわった。石田氏によると、Xperia Z1やZ2では、4辺(上下左右)を1回ずつカットする前と後の計2回にわたって、アルマイト処理を施しているという。

 Xperia Z1では2回目のアルマイト処理をする際に、ブラックやパープルの色を入れているが、Z2では「アルミの輝きを表現したかったので、2回目のアルマイト処理を無色にしています」と石田氏。実際にZ1とZ2のパープルを見比べると、フレームの中央部はZ1はパープルだが、Z2はシルバーとなっており、金属感が強調されている。「金属の磨いた面(シルバーの部分)の輝きは、樹脂では絶対に出せません。そこは見ていただきたいですね」と久保氏は胸を張る。

photoXperia Z2(上)とZ1(下)を比較

 なお、アルマイト処理は非常に高温の中で行われるので、「樹脂に2回も高温の処理をすると、素材がダメージを受けてしまいます」と石田氏。そこで、耐熱性の高い材料を選び、特別な樹脂素材を使っている。こうした地道な工夫があって、インサートモールディングとアルマイト処理は実現した。

 細かいところでは、カメラリングのパーツはXperia Z1のアルミから、Z2ではステンレスに変更されている。これは「リングの輝きを美しいものにしたいから」と石田氏。「ステンレスの方が硬くて、ダイヤカットをすることできらっと光ります。素材そのもののよさを生かす工夫がディテールにまで入っています」

photoXperia Z2(右)のカメラリングにはステンレスを使っている
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