レンズ駆動モーターによる快適なAF性能
パナソニックの明るい広角単焦点といえば、昨年リニューアルされたパンケーキレンズ「LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.」が薄型軽量かつ低価格ながら良好な描写が味わえる製品として好評を得ている。個人的にも愛用しているスナップレンズの1本だ(交換レンズ百景:パンケーキレンズがとらえた半径1メートル圏内の眺め——パナソニック「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」)。
ただこのレンズの弱点は、AFがあまり速くないこと。近ごろのマイクロフォーサーズ機はボディ側のAF性能が進化しているので、たとえば「DMC-GH4」や「DMC-GX7」での使用時はストレスを覚えるほど遅くはないが、ほかの最新レンズに比べるとスピード面で少々見劣りする。
そんな中、同じく明るい広角単焦点の新顔としてパナソニック「LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.」が登場した。ライカブランドを冠したマイクロフォーサーズレンズである。
焦点距離は15ミリで、35ミリ換算で30ミリ相当となる。前述の20ミリレンズに比べると開放値は同じF1.7ながら、焦点距離はいっそう短く、よりスナップ用に適している。単焦点の入門者にとっても、すんなりと扱いやすい焦点距離といっていい。
レンズの全長は36ミリで、重量は115グラム。パンケーキとは呼べるほど薄くはないが、結構コンパクトで携帯性に優れている。今回の使用ボディDMC-GX7に装着した際のバランスもちょうどいい。
試用では、期待通りスムーズに作動するAF性能を確認できた。多少薄暗いシーンでも気持ちよくスルスルとピントが合う。マニュアルフォーカス時のピントリングの操作感もマイクロフォーサーズレンズとしては悪くないほうだ。
1/3段ステップの絞りリング
外装は金属製で、高品位な質感としっかりとした剛性感がある。外見上の特長のひとつは、一足先に発売された中望遠レンズ「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2」と同じく鏡胴部に絞りリングを備えること。リング回転で絞り値をダイレクトに操作したい人にはうれしい仕掛けといえる(交換レンズ百景:開放F1.2が描き出す、上質で近代的な世界——パナソニック「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2」)。
ただ個人的には、絞りリングがない他のレンズと併用する際に戸惑うことがあるので、絞りリングは「A」の位置に固定したまま、絞り調整はボディ側で操作するほうがしっくりくる。
写りの満足感は高い。絞り開放値から十分な解像感が得られ、絞り込むとさらにシャープネスが高まる。タル型の歪曲や開放値での周辺減光はやや見られるが、これらはRAW現像時に簡単に補正できるレベルだ。
今回の撮影では、メモ感覚のスナップのほか、ポートレートも試してみた。適度に広い画角は、肉眼で見える範囲に近く、その場で感じた印象をそのまま写真として記録するのにうってつけだ。開放値が明るいので、自然光を生かしながら気軽に撮影できるほか、室内や夕方といった低照度条件下でも感度を高めずに済むのがありがたく感じた。
希望小売価格は7万円。手ごろな値段とはいえないが、べらぼうに高いわけでもない。日常感覚のスナップやポートレートを高画質で撮りたいマイクロフォーサーズユーザーなら、ぜひ入手したい1本である。
(モデル:手塚梨加 オスカープロモーション)
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