最近、高画質を実現する大型センサーと明るい高倍率ズームレンズの双方を備えたレンズ一体型デジカメが注目を集めている。具体的にはオリンパス「STYLUS 1」とソニー「DSC-RX10」、パナソニック「DMC-FZ1000」の3モデルだ。「DMC-FZ1000」は7月発売のために画質や使い勝手についての言及はできないが、まずはセンサーとレンズのスペックを中心に3モデルを比較してみよう。
3製品のセンサーサイズと画素数は、STYLUS 1が1/1.7型 有効1200万画素で、RX10とFZ1000が1型 有効2010万画素。センサー縦横の正確なミリ数はRX10以外、Webで公開されているスペックシートには記載されていないが(RX10搭載のセンサーは13.2×8.8ミリ)、大まかに比較すると以下のようになる。
そしてレンズの焦点距離と明るさ。
STYLUS 1が35ミリ換算28〜300ミリ相当の全域F2.8、RX10が24〜200ミリ相当の全域F2.8、FZ1000が25〜400ミリ相当のF2.8-F4.0となっている。「大型センサーと明るいレンズを搭載した高倍率ズーム機」と表現できる3機種ながら、微妙にセンサーサイズと焦点距離、それに明るさのすべてにおいて微妙に異なっているのが興味深い。
ちなみに各製品の通常撮影モード時の最短撮影距離は、STYLUS 1が10センチ(ワイド端)/80センチ(テレ端)、RX10が13センチ(ワイド端)/44センチ(テレ端)、FZ1000が30センチ(ワイド端)/1メートル(テレ端)だ。FZ1000はマクロモードに切り替えることで最短撮影距離を短縮することができるものの、3機種の中で最も長い焦点距離を持つだけに、より望遠側で使用されることを意図しているといえる。
製品名 | センサーサイズ | 画素数 | 35ミリ相当焦点距離 | F値 |
---|---|---|---|---|
STYLUS 1 | 1/1.7型 | 有効1200万画素 | 28〜300ミリ | 全域F2.8 |
DSC-RX10 | 1型 | 有効2010万画素 | 24〜200ミリ | 全域F2.8 |
DMC-FZ1000 | 1型 | 有効2010万画素 | 25〜400ミリ | F2.8-F4.0 |
製品名 | 通常時最短撮影距離(ワイド端) | 通常時最短撮影距離(テレ端) |
---|---|---|
STYLUS 1 | 10センチ | 80センチ |
DSC-RX10 | 13センチ | 44センチ |
DMC-FZ1000 | 30センチ | 1メートル |
ボディデザインは明るい高倍率ズームレンズを備えるためにいずれもグリップを備えた一眼風でそれなりに大柄だが、比較するとSTYLUS 1のコンパクトさが目につく。また、3機種とも背面液晶がチルトもしくはバリアングル機構を備えており、EVFも高精細なものを搭載している。
製品名 | 縦横サイズ | 重量(バッテリー、メモリカード含む) |
---|---|---|
STYLUS 1 | 116.2(幅)×87(高さ)×56.5(奥行き)ミリ | 約402グラム |
DSC-RX10 | 129(幅)×88.1(高さ)×102.2(奥行き)ミリ | 約813グラム |
DMC-FZ1000 | 136.8(幅)×98.5(高さ)×130.7(奥行き)ミリ | 約831グラム |
製品名 | 背面液晶 | 可動 | タッチパネル | EVF |
---|---|---|---|---|
STYLUS 1 | 3型 約104万画素 | チルト式 | ○ | 144万画素 |
DSC-RX10 | 3型 約122万画素 | チルト式 | — | 144万画素 |
DMC-FZ1000 | 3型 約92万画素 | バリアングル式 | — | 236万画素 |
付加機能についてもチェックしていこう。RX10とFZ1000はビデオカメラも手がけるメーカーの製品ということもあるのか動画まわりへの注力が目を引く。RX10はマイク/ヘッドフォン端子を本体に搭載するほかオプションのアダプターを組み合わせることでXLR端子からのライン入力が可能で、FZ1000は「レンズ一体型デジタルカメラとしては世界初」(同社)の4K動画(3840×2160ピクセル)撮影機能を搭載している。
STYLUS 1はフルHD動画の撮影も可能だがどちらかといえば静止画の撮影に注力している印象で、300ミリ相当で被写体に80センチまで接近できるマクロ機能を備えるほか(スーパーマクロモードならば、5センチまで接近可能)、オプションとして用意されてるテレコンバーターを組み合わせればF2.8の明るさはそのままに1020ミリ相当まで焦点距離を延長できる。
これまで高倍率ズームレンズを備えたデジカメといえば、ズーム倍率だけに注力していた印象だったが、ここで紹介した3モデルはセンサーサイズはもちろん、ファインダーのクオリティや操作性についても相当な注意が払われており、万能性の高いモデルとして「カメラ好きにとってのメイン機」となりうる可能性も秘めている注目分野といえる。
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