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「Angry Birds」に「Clash of Clans」──森と湖の国から世界的ヒットが生まれるのには理由があった

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 森と湖の国・フィンランド。日本では「ムーミン」「マリメッコ」などのかわいらしいイメージが強いかもしれないが、「Angry Bird」のRovio、「Clash of Clans」のSupercellなど大ヒットゲームを産み出す企業を輩出している。

 東京の約半分、人口560万人ほどの北欧の小さな国が世界に名だたるゲーム企業を産む秘密の1つが、政府による積極的な投資だ。

photoゲーム産業全体の外観。資料はWebで公開されている

 スタートアップ支援を行う中心組織、フィンランド技術庁(TEKES)は、自然エネルギーや情報通信、バイオ・化学など6つの重点分野で、企業/研究機関のビジネスや研究を支援している。毎年1500社の民間企業、600の研究機関や大学に計5億ユーロ(約700億円)を投資し、専門家によるバックアップも行う。成長分野に早い段階から投資し、世界での存在感を高め、長期的に経済を強化していく狙いだ。

photo売上高ベースでも急成長

 特に力を入れるのが、ゲーム産業への投資。全体で200社、従業員2500人程度の規模(2014年)でありながら、事業価値は22億1000万ユーロ(約3000億円)、売上高は9億ユーロ(約1250億円)に達し、年成長率も約40%と急速に伸びている。

 将来性を期待され、TEKESの支援の一環として「SKENE」と呼ばれる特化プロジェクトが2012年から15年の3カ年計画で進行中だ。世界を見据えたデジタルコンテンツ配信、モバイルプラットフォームの開発、キャラクタービジネスの強化——の3つを掲げ、産業全体の拡大と外貨の獲得を目指す。

 すでに1300万ユーロ(約18億円)を40社以上に投資しており、うち75%を創業したてのスタートアップ、事業が軌道に乗り始めたランナーアップが占めているという。金額は1万5000ユーロ程度から数百万ユーロまで規模や目的に合わせてさまざまだ。

photoカリ・コルホネン氏

 急速な成長を実現している理由として、TEKESのカリ・コルホネン氏は、(1)Nokiaを背景としたモバイル環境への技術的な理解、人材の流入(2)国内市場が小さいため、当初からグローバルを意識する姿勢、(3)事業や製品、戦略の軌道修正をいとわないこと、(4)企業を超え開発者の仲間意識が強く、ベスト・プラクティスをシェアする文化——などをあげている。

 開発者コミュニティーが狭いからこその密なコミュニケーションも特徴——とし、TEKESのポリシーも「“役人面”せずできるだけこちらから会いに行く」ことと話す。起業家の悩みや疑問を直接聞くことで、より適切な支援の形や成長の可能性を判断できるという。

 2020年までの目標は、ゲーム産業全体での年間売上高10億ユーロ。金額だけを追い求めるのではなく、有望なスタートアップが生まれる土壌をシステマティックに整えていくことが第一と強調する。

 「『ゲーム産業は一過性のブームでは?』と日本に行くと聞かれるが、投資する価値のある成長分野に育つまで何年も失敗を繰り返し、技術面、人材面でポジティブなエコシステムを作り上げてきた。成功した企業の存在がチャレンジャーを鼓舞するだけじゃなく、成功事例をシェアして全体の底上げに貢献している。政府と企業が手を取り合って次世代を支援しているのがフィンランドの大きな強み」(コルホネン氏)

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