ITインフラのアウトソーシングというと、一昔前ならばホスティングサービスやハウジングサービスを指しただろう。ところが現在は、アウトソーシングの選択肢が多様化している。クラウドコンピューティング(IaaSおよびPaaS)の登場が、データセンターサービスに多彩なオプションを生み出したからだ。
ガートナー リサーチ バイスプレジデント フランク・リダー氏は、「クラウドを筆頭に、全世界でITインフラのアウトソーシング意欲が高まっている。しかし、IaaSからその効果を引き出すのは容易ではない」と述べる。
本稿では、2014年6月11日に開催された「ガートナー アウトソーシング & ITマネジメント サミット 2014」のリダー氏の講演から、ITインフラのサービスプロバイダーを評価/選定するためのベストプラクティスを紹介する。
関連記事
- クラウド導入で失敗 10の“あるある”
- 2016年にはハイブリッドクラウドは当たり前——ガートナーが明言する理由
- 2020年には「パーソナルクラウド」へ、変化するクライアント環境
- 偽クラウドは淘汰される、「幻滅期」に入ったクラウド市場
- ユーザー企業3社座談会 ITインフラはどこまで外に出せるか?
アウトソーシングが“コスト削減”と“価値向上”のギャップを埋める
リダー氏によれば、企業でアウトソーシングの意欲が高まっている背景には、経営層がIT部門に求める2つの要件への圧力があるという。その2大要件とは、「コスト削減と、ビジネスにもたらす価値の向上」(リダー氏)である。IT予算は年々切り詰められ、ITに掛かるコストを下げるように求められる一方で、ITによってコスト削減以上の新たな価値(ビジネスへのインパクト)を生み出すことが期待されている。だが実際、コスト削減と価値向上は相反する目標であり、その間には大きなギャップがある。そこで、このギャップを埋める役割をアウトソーシングに求めるというわけだ。