1型センサーや明るいレンズ、それにEVFと見どころの多いサイバーショット「RX100 III」だが、一番スゴいのはスペック(技術的なといいかえてもいい)のスゴさを感じさせず、手のひらに収まるコンパクトデジカメながら、シャッターを切るだけで一目で「スマホレベルではない」と分かる写真が撮れることだと思う。
例えば暗い居酒屋。
お酒の席なので構え方もラフになるし、撮ることに集中する場所でもない。絞り優先で絞りを開放にして、さっと撮ってもこのレベル。厳密に言えばピンが甘めだったり、背景の整理が雑だったりと、突っ込みどころは多いが、それでも「画質重視でコンデジを探している普通の人」にとっては十分に満足できるはずだ。
発売直後に掲載した製品レビュー(最強の広角系スナップコンデジ RX100がさらに進化 ポップアップ式EVFと新レンズが魅力的な「RX100 III」実力診断)ではEVFとレンズというカメラファン向けの部分に注目したが、RX100 IIIはカメラ初心者が快適にきれいな写真を撮るための機能も多く備えている。
撮影モードダイヤルには通常のフルオートである「おまかせオート」と、必要に応じて連写合成を行う「プレミアムおまかせオート」の2つが引き続き用意されている。プレミアムおまかせオートでは連写合成によって、夜景撮影時のノイズ低減や逆光時のHDR適用など、かなりの部分を自動制御して「きれいな絵」にしてくれる。
基本的にはこのプレミアムおまかせオートで、かなりのシュチュエーションをカバーできるが、かなりの部分をカメラが自動制御するので、画一的な絵になる傾向があることも否めない。とはいえ、十字キー下から「背景ぼかし」「明るさ」「色合い」「鮮やかさ」「ピクチャースタイル」を設定でき、ピクチャースタイルからはモノクロやレトロ調に調子を変えることもできる。カメラの機能に詳しくないなら、まずは「プレミアム〜」でいろいろ撮ってみるのがいいと思う。
便利な機能としてはほかにも、人物の顔を検出した状態で撮影すると自動的に最適な構図にトリミングする「オートフレーミング」、それに肌をなめらかにする「美肌効果」といった機能も用意されている。
オートフレーミングはトリミング前とトリミング後の2枚が同時記録されるが、トリミング後の写真についても超解像技術によって、オリジナルと同一の画像サイズ(最大で5472×3648ピクセル)となり保存される。等倍表示にして見比べれば画質差が見受けられるものの、パソコンのディスプレイなどで見る程度だとトリミングされたものかの判別は難しい。
「美肌効果」は効き目を3段階に変更できる。最大まで効果を強くすると、効果OFFのカットに比べてファンデーションを厚塗りしたような感じも受けるが、あくまで見比べるとというレベル。その1枚だけを見れば、さほどの不自然さは感じない。この美肌効果は撮影モードを問わずに適用できるので、女性を撮るときはぜひ。
さて表題の「カメラ初心者でも買いか?」について考えてみよう。携帯に負担とならないサイズと高い画質、そのバランスは非常に高いところで取れており、撮影に際して難しいところもない(素早い設定変更は苦手だが、それは初心者向けにどうかという話からは逸脱するだろう)。
カメラに不慣れな人にもオススメできる製品だが、ネックは価格。直販サイトの「ソニーストア」では8万8000円(税別)で、大手カメラ量販店でも大差ない価格で販売されている。エントリー向け一眼レフを上回る値段であり、決して安価とは言えない。RX100 IIIの登場後、初代RX100が描写はほぼRX100 IIIと同等ながらより安価(ソニーストア価格は税別 5万7124円)ということで注目されているのが納得できる。
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