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ソニーの極薄&防水タブレットは画質も抜かりなし
本特集では、ソニーの10.1型Androidタブレット「Xperia Tablet Z」を詳細に検証していく。前回(第3回)は、“超”薄型軽量で防水防塵のボディを実現するため、バッテリー駆動時間が犠牲になっていないかをテストした。
今回はソニーが薄型軽量化とともに注力したと聞く、液晶ディスプレイの表示品質を測定器(カラーキャリブレーションセンサー)でじっくり調べていこう。
前回に引き続き、比較対象となる10型クラスのAndroidタブレットとして、前モデルの「Xperia Tablet S」(SGPT123JP/S)と、GoogleとSamsungが共同開発したハイスペックモデル「Nexus 10」を用意した。これらの液晶ディスプレイに関する仕様は下表にまとめた。
今回テストした10型クラスのAndroidタブレット | ||||
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製品名 | Xperia Tablet Z Wi-Fi (SGP312JP/B) | Xperia Tablet S (SGPT123JP/S) | Nexus 10 (16Gバイトモデル) | |
メーカー | ソニー | ソニー | Google (Samsung Electronics製) | |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド | 9.4型ワイド | 10.055型ワイド | |
画面アスペクト比 | 16:10 | 16:10 | 16:10 | |
液晶パネル方式 | IPS | IPS | IPS ※PLS | |
画面解像度 | 1920×1200ドット | 1280×800ドット | 2560×1600ドット | |
画素ピッチ | 約224ppi | 約160ppi | 約300ppi | |
表面仕上げ | グレア | グレア | グレア | |
画面サイズは、Xperia Tablet Zが一番大きな10.1型ワイド、Nexus 10がほぼ同じの10.055型ワイド、Xperia Tablet Sがわずかに小さな9.4型ワイドだ。いずれも画面のアスペクト比は16:10、液晶パネルは広視野角のIPS方式、ディスプレイ表面はガラスが貼られたグレア(光沢)仕上げを採用している。
3機種で最も異なるのは、画面解像度と画素密度(表示の細かさ)だ。Xperia Tablet Zは1920×1200ドットで約224ppi、Xperia Tablet Sは1280×800ドットで約160ppi、Nexus 10は2560×1600ドットで約300ppiとなる。Xperia Tablet Zは、通常の使用距離でドットをほとんど認識できないほど表示が細かい。Xperia Tablet Sの解像度では、さすがにドットの粒がはっきり分かる。Nexus 10は非常に精細でドットを意識することがない。
キャリブレーションセンサーで内蔵ディスプレイの表示を計測
まずはエックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」を使って、各製品のディスプレイ表示を計測した。i1ProはAndroid OSに対応しないため、各タブレットにWindows PCの外部ディスプレイとして利用できるアプリを導入し、PC用ソフトウェア「i1Profiler」からi1Proをコントロールすることで、タブレットの内蔵ディスプレイを計測している。
なお、今回テストしたのは各製品につき1台ずつの評価機で、個体差を考慮していない点はお断りしておく(ロットによって液晶パネル自体の型番が異なる可能性もある)。
テスト結果は下表の通りだ。計測に使ったi1Proは、実際の輝度より少々低めの値を出す傾向があるので、輝度の値は各製品の明るさの比較用として参考程度に見ていただきたい。また、ここでのコントラスト比は一般的なディスプレイのコントラスト比計測方法と異なり、単純に最大輝度と最低輝度の差だ。
i1Proで計測した各製品の最高輝度、コントラスト比、色温度 | |||
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製品名 | Xperia Tablet Z Wi-Fi (SGP312JP/B) | Xperia Tablet S (SGPT123JP/S) | Nexus 10 (16Gバイトモデル) |
輝度 | 317カンデラ/平方メートル | 413カンデラ/平方メートル | 382カンデラ/平方メートル |
コントラスト比 | 812:1 | 811:1 | 742:1 |
色温度 | 6207K | 6251K | 7288K |
x座標 | 0.317 | 0.317 | 0.302 |
y座標 | 0.339 | 0.334 | 0.318 |
※xとyの値はCIE XYZ表色系(CIE 1931)のxy色度図における座標 |
Xperia Tablet Zは3機種の中で最も輝度が低いが、それでも300カンデラ/平方メートルを超えており、室内で利用するには最大輝度設定でまぶしいほどだ。内蔵の照度センサーを利用した自動調光機能を備えているので、通常はこれを使うことで、明るさと消費電力、目にかかる負担のバランスを自動で調整してくれる。Nexus 10やXperia Tablet Sはかなりの高輝度で、見比べても明るさが大きく違う。屋外など非常に明るい場所での視認性で有利となる。
色温度については、Xperia Tablet ZとXperia Tablet Sで6200K程度を記録しており、業界標準の色規格「sRGB」で定められている色温度(6500K)に近い。Nexus 10はそれより1000Kほど色温度が高い結果となった。色温度が低いと、白色の表示が黄から赤みがかって見え、高くなるにつれて青っぽく変化する。つまり、Xperia Tablet ZとXperia Tablet Sはわずかに赤っぽいがほとんど自然な表示、Nexus 10は少し青っぽい表示だ。
i1Proの計測結果からガンマ補正カーブを抜き出したのが以下の画像だ。グラフは映像信号の入力と出力の関係を示しており、左下の0(白)から右上の255(黒)まで、R(赤)、G(緑)、B(青)の各線が重なってリニアな直線を描いていれば、グレーバランスが正確で階調の再現性が高い。RGBの各線がずれると、映像信号の色とズレた色が表示されたり、美しいグラデーションが描けなくなる。
計測後のガンマ補正カーブを見ると、どれも大きく乱れているものはない。特に優秀なのがXperia Tablet Sで、RGBの3本がほとんど重なって直線を描いた。Nexus 10、iPad Retinaディスプレイモデル、iPad miniは、少しずつ細かいズレが見られるが、全体的には整っている。
肝心のXperia Tablet Zは、黒から50%グレーくらいまで素晴しい結果だが、そこから明るくなるにつれて青がやや下方向へ補正された。つまり、標準状態では中間階調から明部で青が少し強めに出る傾向にあるが、それ以外は問題ない。どれもタブレット内蔵のディスプレイとしては比較的良好な結果といえる。
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