ソフトバンクは2014年6月5日、“新技術への取り組み”に関する「ソフトバンクグループ発表会」を開催。「世界初」(同社)をうたう感情を持ったパーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」を発表し、2015年2月から一般販売を開始することを明らかにした。販売価格は19万8000円。また、明日(2014年6月6日)より、一般販売に先駆け、ソフトバンクショップ銀座店、表参道店に、実際に配備され、接客などを行うという(関連記事:ロボット事業へ参入か? ソフトバンクが新技術への取り組みを発表)。
Pepperの特徴は大きく2つある。1つは、人間の表情や声などから感情を数値化して、自律的にそれを学習する「感情エンジン」を搭載している点だ。例えば、Pepperが何か手伝いをしてくれた際に、満面の笑みで「ありがとう!」とPepperに伝えると、表情と声からその行為が良かったものだと認識し学習する。逆に、「だめじゃないか!」と怒られると、同じく表情と声からその行為が悪いものだったと認識して学習する。
もう1つは「クラウドAI」だ。Pepperはインターネットに接続されており、前述の学習結果をクラウドAIにアップロードする。それも全てを記録するのではなく、感情の振れ幅が大きかったもの(喜ばれた/怒られた結果)を重点的に記録するよう設計されている。このクラウドAIに、各家庭や店舗などに配備された複数のPepperからの学習結果が記録されることとなり、それを集合知として利用・フィードバックする。そうすることで、Pepperの加速度的な成長・進化が可能になるという。ちなみに、家庭内での利用の場合、「プライベートモード」で動作し、プライバシーを保護した状態でクラウドAIと連携するそうだ。
愛を持ったロボットを実現する
前日のTwitterで「25年間この日が来ることを夢見てきました」とコメントした孫社長は、「これまでロボットは感情を持たないものとして認知されてきたが、今日はロボット史上初めて、ロボットに感情を、心を与えることに挑戦した日となる。100年後、200年後、300年後、あの日が歴史的な日だったと記憶されることだろう」と喜びを語った。
そして、「われわれのビジョンは、『愛を持ったロボット』を作ること。人間の感情を理解し、自らの意思で動く。家族の喜びを自分の喜びと感じるロボット。それを実現するのが感情エンジンとクラウドAIだ。褒めれらたらうれしいと感じ、もっと褒められていと思い、学習・進化していく。それも、たった1台で学ぶ進化ではなく、集合体として、空気を読んで進化していく。このビジョンに向けた最初のロボットがPepperだ」と孫社長は説明する。
Pepperの開発には、ヒューマノイドロボット「NAO」の開発会社で、2012年からソフトバンクが出資しているアルデバラン・ロボティクスが協力。頭部には4つの高性能マイクが搭載されており、どの方向で音が発せられているか高精度で認識可能だという。また、目には距離センサーが搭載されており、対話している人物との距離を測定できる。ただし、Pepperは、NAOのように2足歩行型のロボットではない。その理由について孫社長は「一般的な2足歩行ロボットはバッテリーが長時間持たない。Pepperは連続稼働12時間以上を確保するため、あえて2足歩行にしなかった」と説明する。
また、Pepperには、さまざまなアプリケーションを搭載することが可能で、2014年9月にはSDKの提供を開始し、さらにアプリケーション開発者向けイベントを開催するという。
発表会冒頭で披露されたオープニングデモの様子
サイズ(高さ×奥行×幅) | 1210mm×425mm×485mm |
---|---|
重量 | 28kg |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー 容量:30.0Ah/795Wh 稼働時間:約12時間以上(ショップでの利用を想定した場合) |
センサー類 | 頭部:マイク×4、RGBカメラ×2、3Dセンサー×1、タッチセンサー×3 胸部:ジャイロセンサー×1 手部:タッチセンサー×2 脚部:ソナーセンサー×2、レーザーセンサー×6、バンパーセンサー×3、ジャイロセンサー×1 |
可動部 | 自由度:頭:2、肩:2×2(L/R)、肘:2×2(L/R)、手首:1×2(L/R)、手:1×2(L/R)、腰:2、膝:1、ホイール:3 モーター:20個 |
ディスプレー | 10.1インチタッチディスプレー |
プラットフォーム | NAOqi OS |
通信方式 | Wi-Fi:IEEE 802.11 a/b/g/n(2.4GHz/5GHz) イーサネットポート×1(10/100/1000 base T) |
移動速度 | 最大3km/h |
移動可能段差 | 最大1.5cm |
「Pepper」の主な仕様(予定) |
ロボット開発の最前線
関連記事
- ロボット事業へ参入か? ソフトバンクが新技術への取り組みを発表
ソフトバンクの孫正義社長は、自身のTwitterで新技術への取り組みを明かし、2014年6月5日、発表会を開催するとした。既に一部メディアで報じられているが、ロボット事業への参入が濃厚のようだ。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.