フジヤエービック主催の「春のヘッドフォン祭 2014」が5月10日に開幕した。今回も多くの新製品が登場しているが、中でも注目は“平面振動板”を採用した高級ヘッドフォン。前日の9日に発表された米OPPO Digitalの「PM-1」に加え、10日の午前中にはフォステクスが発表会を開催して夏に発売する「TH500RP」を披露。さらにHiFiMANも新しい駆動方式を採用した「HE-560」をお披露目している。
メーカー | OPPO Digital | FOSTEX | HiFiMAN |
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製品名 | PM-1 | TH500RP | HE-560 |
振動板形状 | 楕円形 | 四角 | 丸 |
再生周波数帯域 | 10〜5万Hz | 20〜3万Hz | 15〜5万Hz |
インピーダンス | 32オーム | 48オーム | 35オーム |
感度 | 102dB | 93dB | 90dB |
重量 | 395グラム | 約380グラム | 380グラム |
価格(税別) | 15万円前後 | 7万4000円 | 9万2500円 |
発売時期 | 6月中 | 8月上旬 | 5月末〜6月上旬 |
ヘッドフォンでは、スピーカーを小型にしたようなコーン型ユニットが一般的に使われているが、平面振動板はその名の通りフラット。フォステクスやOPPOの製品は振動板の両側(前後)に磁気回路を設けてプッシュ・プルで駆動させる仕組みだ。
「コーン型では一点から力が加わるため、歪(ひず)みが発生しやすい。しかしRP方式の全面駆動なら共振周波数が分散できるため、音質的に有利だ」(フォステクスカンパニー 技術課PA技術の山口創司主査)。また振幅幅が小さいとき(ボリュームを絞ったとき)にもしっかりした音が出る、音の立ち上がり/収束が早いなどのメリットもあるという。
一方のデメリットは、一般的なコーン型ユニットに比べて、かなり能率が悪いこと。十分な出力のヘッドフォンアンプがないと使えなかったため、例えばフォステクスは1974年に第1号機「T50」を発売しながら、40年間は録音スタジオなどの業務用として販売してきた。しかし近年は民生用ヘッドフォンアンプも普及し、「平面振動板を改めて販売する環境が整った」(山口氏)。もともと音質的には素性の良い平面振動板を、改めてオーディオファン向けの高級ヘッドフォンに採用することを決めたわけだ。
“平面”でも異なる部分
フォステクスの場合、同社が数十年にわたって培ってきたRP技術を現代の環境や音楽に合わせて進化させるとともに、最新技術も取り込んだ。例えばハウジングには、密閉型の「TH-900」を開発したときのノウハウが生きているという。「中高域は直接ドライバーから届くが、低域は音をいかに逃がすかも重要だ」(同社)。
一方、海外の新興メーカー2社の製品にもそれぞれに“ブレークスルー”があった。
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