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「仕込みiPhone」動画でブレイク! 森翔太さんに密着

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 仕込み銃のようにiPhoneがシャキーンと飛び出す装置「仕込みiPhone」。昨年この装置を紹介するYouTube動画でブレイクし、海外ニュースでも取り上げられた日本人がいる。この装置を製作したパフォーマーの森翔太さんだ。森さんに仕込みiPhoneの製作裏話や今後の展開についてうかがった。

ah_mori1.jpg森翔太さん

おもしろ動画への応募がきっかけ

 仕込みiPhoneを作ったきっかけについて、「本当に突発的なものでした」と話す森さん。作ったのはiPhoneが普及し始めていた2010年末ごろ。実は森さん自身はiPhoneを持っていなかった。昔観た映画「タクシードライバー」内の「仕込み銃」をふと思い出し、「このシーンとつなげてみよう」という軽い気持ちから誕生したものだった。

ah_mori2.jpgiPhoneがシャキンと飛び出す

 しかし、作った後はしばらく放置されていた仕込みiPhone。所属していたパフォーマンス集団で、演技の最中に数回使った程度だとか。そんな折に、知り合いがおもしろ動画を募集していることを知り、特に賞などはなかったが応募することにし、仕込みiPhoneの動画を作ろうと決めた。この動画コンテスト「iimio杯」で特別賞を受賞した「仕込みiPhone1号機」が、初めて撮った作品だ。家電量販店で買った安いカメラで撮った映像を、Windowsのムービーメーカーで編集した。

 森さんが自室で険しい表情をして、仕込みiPhoneを操りながら動きまわる映像——実にシュールな映像は、当時「10〜20人くらいが見てくれただけで喜んでいました」(森さん)と、公開当初は話題にならなかった。しかし2011年末ごろ、Webメディア「GIZMODO」で取り上げられ、認知度が高まっていく。「万単位の人が見てくれるようになり、戸惑いや怖さもありましたが、嬉しくもありました」。

仕込みiPhoneを実演してもらった

「ちょっと変な人?」と思われがちな撮影で苦労

 一度注目を集めるようになると、新作を期待されるようになる。仕込みiPhone2〜4号機、さらには仕込みiPad(参考:仕込みiPhone 4号機 , 仕込みiPad)まで森さんは作ってしまう。プラスチック製の普通のカーテンレールを使い、ただiPhoneがカシャカシャと動くだけだった1〜2号機に対し、3号機ではiPhoneをしまい込めるようになるなど、明らかな進化を遂げた。それぞれの一番の違いは「使用しているカーテンレールにありますね」とのこと。

ah_mori8.jpg

 自称「雑」で工作経験もあまりない森さんだが、モノ自体の製作では苦労はなかった。仕込みiPhoneは、カーテンレールと腕にくくりつける土台、iPhoneケースでできている。ほぼ両面テープやホチキスで留められ、レールとケースを合わせた部分に、電動ドリルが使われている。なお、現在はネットで特注の短いカーテンレールを注文し、これまでに40〜50本くらい買い付けている。「もはやお得意様の域かと。直接安く仕入れたいくらいですね」

 一方、森さんが少し大変だったと話すのは動画撮影の方だ。三脚を固定して森さん自身が動きまわる。2〜3日間に渡る撮影期間内に、3回ほど警察に呼び止められることがあるという。「許可をとるのに苦労しました。僕は個人での撮影なので問題はないのですが、やはり不審に思われることがあり……。でも話すと分かってくれます」。そんなときには「商用ではなく個人での撮影であること」を伝えたり、ときには「結婚式で流すビデオ用に」(確かに将来的に使えそう)といったやりとりで、乗り切ってきた。

 また、 仕込みiPhone 4号機では、洗濯機の中に頭から身体をつっこむなど、いつも以上に身体を張っている森さん。実は撮影時に洗濯機が回っていて、肩のあたりがむち打ち状態になったという話も……。非常に大変な思いをしながら、映像ができあがっていたのだ。

ah_mori3.jpgah_mori4.jpg記者らも体験
ah_mori5.jpgah_mori6.jpg

国内外から大きな反響

 今や世界中で見られている仕込みiPhoneの映像。「仕込みiPhone3号機」の閲覧数は87万件を超えている。ここまで来ると気になるのが、森さんの身に起こる変化だ。国内メディアに限らず、多数の海外メディアにも取り上げられ、テレビ番組やイベントにも登場するなど、森さんの露出は増える一方。

 「海外の方からメールが来るようになりました。動画を見て僕のことを、いつも部屋の中で過ごしている孤独な人間だと思われた方から、『俺も孤独だ』とか『俺とおまえは似ている』とか書かれていることが多いです」と森さん。

 電子の世界だけではない。リアルの場でも動画を見たという外国人から、満員電車の中でいきなりハグされたこともある。

 国内では、子どもたちが自作した何らかの仕込みアイテムを、親が「ウチの子がこんなの作りました」とTwitter上で報告してくることも多いという。「仕込み○○が増えていくのは嬉しいですね」と森さん。現物を作る人が現れるのも、二次創作されるのも歓迎だそうだ。

仕込みiPhone5、6号機が秋にはお披露目かも!

ah_mori7.jpg

 企業からも仕事の依頼が来るようになった。チームラボと一緒に作った「脊振ILC(国際リニアコライダー)ハイスクール」のCMがその一例だ。普段はあまり細かい計画を立てず、思うがままにコマを撮影しているが、初めて絵コンテを書いた。「いつもひとりで撮影、編集しているので、チームで仕事を進めるのが新鮮で楽しかったです。自分の予想していなかった作品が完成しました」と森さん。

 森さんの肩書きは「パフォーマー、映像作家」。今後はどこへ向かっているのかと聞いてみると、将来どうなっていたいという特別な願望はないという。「面白いことがあれば断らず取り組んでいきたい」と話す。芸人並に身体を張っている森さんっぽい回答だと思う。

ah_mori9.jpg

 そして、気になる次作は……? 「実は仕込みiPhone5、6号機を考えています。iPhoneがくるくると縦にも横にも回るようにします。0.2割くらいは改良されるのかと。秋ごろには出したいですね」と、現状装着したままだと電話もメールもしづらい状況が改善されると話す。もうひとつは大掛かりに思えるが、ジャンプ傘を応用した飛び出す仕掛けのものも計画しているという。

次はこうなる?

 Twitter(@morisatoh)では、ガスタンクに自分自身の顔を投影させたエッジの効いた写真をアップして、フォロワーを笑わせてくれる森さん。エゴサーチが日課だそうで、「森」や「仕込みiPhone」などの“森さん関連ワード”がツイートされているのを見ると、もれなくFavしてしまうといった繊細な面も持つ。そんな森さんの今後の活躍に大注目したい。

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