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企業の“Windows 8.1アレルギー”を解消する、「Project Siena」の可能性

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 「我々はチャレンジャー」──改めて企業導入層を「Windows 8」に振り向かせるにはどうするか。Microsoftが出遅れたスマートデバイス対応とWindowsの企業向け導入訴求を加速させている。

 市場のスマートデバイスシフトが進む中、Microsoftはどんな方向を向いているか。「Windows」を軸にPC、タブレット、スマートフォン間で一貫するシームレスな環境の提供を積極推進する方針を改めて説明した。

photoMicrosoft Windows Commercial担当のアーウィン・ヴィッサーゼネラルマネージャー

 企業PC向けOSとして圧倒的なシェアのあるWindows。Windows XPのサポート終了にともなうPCリプレースと消費税増税前の特需とともに、2013年度の法人PC市場は約949.5万台(前年比21.9%増 MM総研調べ)と過去最高の出荷台数を記録し、大きなプラス成長となった。「表示、消費」を行うスマートフォンやタブレット機器の普及によって縮小傾向にある個人向けPC(同前年比23.3%減)と異なり、「作成、創造、管理」の役割も担う業務用機器として企業に必要とされ、個人PCよりは市場が落ち込まないとみられている。

 一方で、IT技術や機器、通信環境の進化にともなって、企業の業務環境にも「モビリティ」を軸にスマートデバイスを活用したい、PCとスマートデバイスをスマートに使い分けたいと考える新たなワークスタイルへのニーズも日に日に高まっている。大半のシェアを得るPC向けOSに対し、スマートフォン、タブレットOSの分野では他社に大きな差を付けられている現在、Nokiaの携帯事業部門の買収完了などにともなうWindows Phone 8展開の加速、開発プラットフォームの共通化、デバイスに縛られないアプリの展開など、これまでWindowsやOfficeなど製品ごとに分かれていた事業部を1つにまとめ、デバイスとサービスを中心としたビジネス展開のための大規模な組織とする事業方針「One Microsoft戦略」を推進する計画だ。

8.1 Updateで、企業層の導入も「これなら大丈夫」と提案する機能を追加

 これを具現化する第一歩が、2014年4月に公開された「Windows 8.1 Update」(関連記事参照)だ。Windows 8(2012年10月リリース)でユーザーの新たな機器利用シーンを創造すべく、タッチ操作スタイルに最適化したユーザーインタフェース(UI)を取り入れたが、ユーザーの多く、特に企業層はこの大きな変化についてこれなかった。タッチ操作を前提にしたModern UIと呼ぶユーザーインタフェースで使用するスタート画面と、これまでと同じくマウスとキーボードで操作する「デスクトップ画面」の2つが完全に分離され、見た目も、使い方も大きく異なっていたのが「よく分からない」と判断されてしまった。

 こんなニーズを真摯(しんし)に受け止め、Windows 8.1、そしてWindows 8.1 Updateは特に企業層のニーズに対して迎合する機能を取り入れた。スタートボタンの追加、スタート画面のマウス操作ユーザー向け機能の工夫(終了ボタンと検索ウインドウの表示、Windowsストアアプリへのタスクバー表示と閉じるボタンの機能、右クリックメニュー機能など)といった操作における改善のほか、旧バージョンとの互換性を向上させた「Internet Explorer 11のエンタープライズモード」の実装、「企業向けモバイルデバイス管理」のための機能を追加した。

 IE 11のエンタープライズモードとは、業務ツールの動作にInternet Explorer 8であることを必須とする企業向けに設けたIE 8互換モード。既存のアプリや業務ツールもWindows 8.1上でもシームレスに稼働できるよう手助けすることで、IEのバージョン依存が課題になっていた企業層の多くに対しWindows 8.1へ刷新しても大丈夫とアピールする。

photo標準ブラウザ「Internet Explorer 11」に、Internet Explorer 8と同等に動くよう切り替える「エンタープライズモード」を新たに採用した。標準モードのIE 11では動作しない業務ツールも、
photoIE 8互換のエンタープライズモードに切り替えると動作する(URLバーの横に企業アイコンが表示)。IE 8を動作条件とする企業の業務ツールがあるのでOSやPCを刷新できない企業の課題を解消し、Windows 8.1へ刷新を促せる施策だ
photo日本市場の導入時期について明言されなかったが、先日Nokiaのデバイス事業買収を完了したことにともない、Windows Phone 8.1搭載スマートフォンも「Windowsを軸に、PC、タブレット、スマートフォンを隔てなく一貫した使い勝手を提供する」方針を加速させるための重要なデバイスに位置付ける。開発プラットフォームの共通化、ひいてはWindowsデバイス全般で共通できるアプリ向けコードとビジネスロジックを容易に再利用できる体制を整える。この実現に特に重要な存在となるアプリ開発者を特に手厚く対応する方針だ
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